協力魔法は強力です
助けは来ない。いやもう嫌という程わかった。結局僕には友達なんていなかったんだ。信じた僕が悪い。数年間一緒だって関係ない。結局切り捨てられるときは切り捨てられる。
「アカ…ネさん…本当なの…僕を騙し…ていたって…本当なの…」
もう痛みもろくに感じていない…絶望がそうさせているのか、体が死を受け入れて痛みを消してしまっているのかわからない。
「ほら、アカネ?まだ化け物が貴女を頼ろうとしているわよ?貴女は無口だから良いように使われていただけなの?わかる?ほら、ちゃんと態度で証明してあげないと駄目でしょ?」
「…ミズハ…ゴメンね…」
アカネさんが呪文を唱えると僕の目の前に光の槍が現れた。出現魔法である。この世界では魔法を出す際は呪文を唱えるのが基本である。声に出すことにより、魔法が表現され出てくるのである。魔力を多量に持っていれば呪文なんて唱えなくても魔法は出せる。まあ、僕の知る限りで無詠唱で魔法を放てるのはそれこそ、魔力を奪って打つことができる僕ぐらいである。
「おお、スゲー。今日の練習はこれで終わりか?だったら全員で合同攻撃はどうだ?」
「良いわね!だったら私もとっておきのを出すわ!」
「おいおい、ちゃんと頭と手は残しといてよ?この後宿題やってもらうんだからさ。」
「心配すんなって。アカネは胸しか狙わねえよ!」
「…ゴメンなさい…」
「心配しないの。化け物なんだからこれぐらいで死なないわ!かえってやっと貴女は化け物から逃れられるのよ?4年間よく頑張ったわ。この後、私の家でお菓子パーティーしましょう!」
「良いぜ!」
「僕は宿題片付けてからかな。ミズハ?ちゃんと今日も30分以内によろしくね。」
彼らが呪文を唱えると目の前にある光の矢に風がまとわり付きそれに炎がまとわり付き雷がまとわり付いた。彼ら曰くどうやら僕はこれを受けても死なないらしい。化け物だから。
確か、小説でも魔王とか悪役はこうやって退治されたような気がする。ただ僕はとりわけ悪さを…こんな殺人魔法を受ける覚えなんて…。いや、あるのかもしれない。どうやら僕は、自分のことをアカネさんに喋ること自体悪いことだったらしい。友達を作ることが僕の人生で失格だったらしい。前の学校で、今の学校で生活すること自体が犯罪行為だったみたい。
もう、泣けてくる。いや、既に泣いているのかもれない。だけど僕は既に感覚が機能しなくなっている。周りが真っ赤だけど、どうしてそうなっているのかさえわからない。
僕はこの15年程度、何のために生きていたんだろうか。虐められるためだろうか、化け物呼ばわりされるためだろうか。わからないけど、1つだけ言える。僕の人生は最悪だった。予め早く自殺しておけば良かった。自殺する勇気が欲しかった…。
「何してるんですか!止めるんです!死んでしまうんです!」
飛んでくる光の矢を見て目を瞑って死を覚悟した。神様、転生させるなら次回はちゃんとした友達が欲しいです。変な力はいりません。特別な子は周りから迫害され潰されるだけだから。小説だけです、特別な力を持って皆んなに特別に扱われる幸せな人生を歩めるのは…。