皆んなが幸せとはこう言うことみたいです
「だから、ある日聞いたんだ。なんであんなやつといつも一緒なんだってさ。初めのうちはずっと無口だったからやっぱりミズハに口止めされていたんだよね?」
コウヘイ君がアカネさんにそんなことを言う。アカネさんは何も応答しない。ただ、やられている僕を見ているだけである。この光景は、ただの傍観者。
「そして詰め寄ったら色々話してくれたよ。君が前の学校で虐められていたことや性別まで偽造していること。そして頭が良くて、弱みもきちんと持っているってことをさ。」
え…、ま、まさか…情報漏洩の原因ってアカネさん…なの?
「アカネは本当にいい子よね。皆、化け物に付き添うアカネを心配して声をかけたのよ?そしたら、アカネは自分が付き添えば彼女から色々聞くことができるし、もう懐かれているから今更逃げれないなんてことを言ったのよ?
そんな彼女を見て、私達はアカネからミズハの人外発言をたくさん集めてアカネをあんたから守ろうとしたのよ?そしたら、アカネが一層あんたが化け物の力を使って脅してくるなんて言ってくるものだからねえ。本当、なんで化け物はこんなにボコボコにしても死なないのかしら?」
え…、アカネさんに僕が言ったことって、アカネさん経由で情報漏洩していたってこと?…確かに、それならアカネさんが虐められない理由はわかる…わかるけど、この話が正しいと、虐めの根本原因はアカネさんが関わっていると言うことになる。しかも、主犯レベル。そして第一アカネさんに力云々については話したけど脅したりなんかしていない!
「だから、僕は君に話しかけたのさ。すでに、化け物並の力を使わなくしているって聞いていたし、僕にしてみれば頭が良いって聞いたから僕の勉強代わりにやって欲しかったし。友達少ないって聞いてたからちょっと話しかければすぐに色々教えてくれて本当に助かっているよ。」
「おいおい、まさかお前、同情しちまったのか?」
「まさか、ハハハ。便利な生き物程度だよ。だって、化け物なんだろう?そして、その力を使わない。便利以外何があるんだい?
それに、アカネと同じことしていればアカネの気持ちもわかると思ってさ。そしたら案の定、付き合えたから嬉しいことこの上ないよ。ミズハ、君のお陰で僕たちは今幸せなんだよ?後は、僕らを今まで苦しめた分をここで償ってもらえばよしと言うことさ。」
…コウヘイ君の話が正しければ、アカネさんとコウヘイ君は付き合うことが出来たらしい。僕と言う共通の虐めの対象が原因で。目標が一致すると仲良くなれるらしい。じゃあ僕は?誰かを幸せにするためにここまで惨めな思いをする必要性は?!
「馬鹿よね!本当に!笑っちゃうわ!化け物に友達なんてできるわけないじゃない。全員スパイだって言うのにそれを馬鹿真面目に信じる奴。でも安心して。貴女が本来行くべき場所、地獄はもう直ぐよ?
しかも私達は皆んなから称賛の目で見られるのよ?!どっちもwin-winの関係じゃない!」
「ちょっと待ってくれよ。殺すのは良くないだろ?」
コウヘイ君からそんな声が聞こえた。助けてくれるのだろうか…。
「こいつがいないと、これから僕は誰に宿題をやってもらえば良いんだい?全く、精々学校が終わるまではこいつの弱みを握り続けて調教しておいた方が便利なんじゃないか?」
「何言ってるのよ?貴方ペラペラ喋りすぎよ?もう、貴方に手は貸してくれないわ。それよりここで始末して明日からミズハは学校に来なくなりましたの方が清々といいわ。
しかも、化け物とあって親も誰もいないのよ?死んだところで誰も困らないって。」
「じゃあ、今は喋れるだけに四足だけ吹っ飛ばすってどうだ?で、お前が今日の宿題を片付けたら残りも消すって言うのはよ?」
「だったら、右腕だけは残しておいてくれ。宿題を彼女にやってもらうんだからさ。まあ、この後のことはアカネと相談して決めるよ。今まで一緒に同じ元凶で苦しんだんだ。それに比べればマシさ。」