9013列車 北見滝ノ上
「まもなく休憩しませんか。」とカーナビが言う頃、目的地の道の駅「香りの里たきのうえ」に到着する。
「ほっ。疲れた。」
「お疲れ。」
考えてみれば、砂川サービスエリアを出発してから、ここまで道路工事の関係と止まれの標識以外で泊まっていない気がするなぁ。結局2時間ほぼノンストップで走っていたわけかぁ・・・。本州じゃ絶対に出来ないことだよなぁ・・・。
「トイレだ。トイレ。」
そっちの方がそろそろ限界かな。
トイレによって、今治が道の駅での予定を済ませてから、車を少し動かして北見滝ノ上駅跡へと向かった。市町村のマークを購入するのは今日ここだけのため、後はゆっくり見学できる。
道の駅香りの里たきのうえ→国鉄渚滑線北見滝ノ上駅跡
少し来た道を戻り、北見滝ノ上駅は駅舎が残っている。ここをどうやら博物館のようにして開放しているらしい。
ここには渚滑線という国鉄線が来ていた。渚滑線はオホーツク海側の渚滑という街から、この街までを結ぶ34.3キロの鉄道線。森林資源の開発を目的として1923年11月開業と略歴が書いてある。
まぁ、当然こうなっていると言うことは廃止されたのだが。
時刻表もさがっていた。渚滑方面行きは5時43分、6時48分、9時28分、15時09分、17時44分、21時25分。反対の北見滝ノ上行きは6時28分、9時09分、14時27分、17時29分、18時27分、20時45分、23時26分・・・。
(こりゃ、乗る人いないなぁ・・・。)
中でも、昼間の時間帯に約6時間列車が来ない空白があることは大きいだろう。
(上川までつながっていたら、少しは違ったのかな。)
と思ったが、今まで通ってきた人の手が全く入っていない場所に鉄道を通すというのもなぁ・・・。つながったとしても今の石北本線みたいにお荷物になっているのか・・・どうなのだろう。
「なぁ、今治。俺と車と後ろの駅舎収めて写真撮ってくんない。」
僕は今治にそう頼んだ。今治はカメラマンだし、こういう時は重宝したい。
「オッケイ。」
これで北見滝ノ上の駅舎をバックにスーツを着た狂人がピースをする写真が出来上がったのだ。
国鉄渚滑線北見滝ノ上駅跡→西興部ホテル森夢
北見滝ノ上駅を後に、西興部方面へと車を走らせる。運転は今治に交代し、後は橋って貰うことにしよう。だんだんと外の明かりは少なくなり、西興部町に着く頃には完全に真っ暗になった。僕らの通る道道137号は西興部町を見下ろすようにアプローチする。暗い風景に突如として現れる、街の明かりがなんとも暖かい。
「あの街の真ん中くらいにあるのが今日泊まるところだよ。」
そういう今治の声は弾んでいた。