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9012列車 #今日のプリウス

砂川SA→道の駅香りの里たきのうえ

 砂川サービスエリアから道央道を旭川方面へと走る。札幌近辺や岩見沢付近を走っていたときとは違い、車の数はみるみる減る。追い越し車線を新快速以上のスピードで飛ばしていく車もあるが、僕は110キロくらいのスピードをキープしながら走る。

 旭川鷹栖インターチェンジを過ぎると道央道は対面通行へと変わる。前の車に従って走るうちに比布ジャンクションに近づく。僕たちは西興部方面に行くが、行くだけなら道央道を士別まで乗れば良い。しかし、僕たちの次の目的地は滝上である。滝上は上川の斜め右上野あたりにある街。比布ジャンクションからは旭川紋別道には入る必要がある。

(・・・それにしても何時になったら止まれるんだ・・・。)

僕の頭は今そういうことを考えていた。1時間はまだ経っていないと思うけど・・・。

 旭川紋別道は無料で通れる高規格道路である。制限速度は70キロだが、誰もそれを守っておらず80キロから90キロで走っている。僕もそれに合わせて走っているが、それでも後ろから追い立ててくる車もいる。対面通行だし、反対車線にはみ出して抜いていけるわけじゃないから、頑張って逃げないとなぁ・・・。まぁ、そういう車はインターチェンジが近づいたときに2車線になるところで抜いていくけど・・・。

 上川層雲峡インターチェンジを過ぎ、次の浮島インターチェンジで旭川紋別道を降りる。ただ高規格道路を降りた瞬間、辺りの風景が一変する。

(おいおい・・・。これ文明なさ過ぎだろ・・・。)

と思った。

 僕たちはこれから国道273号を左に進んでいくのだが、辺りの鬱蒼と迫る山が「人、立ち入るべからず」と言っているようで怖い。車に乗っていても感じる恐怖というものだ。北海道は何度かレンタカーでまわったことがあるがそう感じたのは初めてだ。

「左です。」

カーナビの機会音声が無機質に針路を指示する。

(覚悟決めていくか・・・。)

 鬱蒼とし、かつ少々色づいた木々をかき分けるように一本の国道が延びる。この国道273号は上川から紋別方面に抜けるための最短ルートとなっているはずだが、何故か反対から車がやってこない。

(こんなところで車壊れたら目も当てられんなぁ・・・。)

そう思っているせいか、アクセルを踏む右足も多少深い。70キロを上回るスピードで峠道を走っている。

 右側にある大きい銀色のバリケードが目に入った。

(えっ、これってそういうこと。)

僕は思った。この道冬になったら通行止めになるのか・・・。おいおい、国道だろ。それに上川から紋別に抜けるための最短ルート。かなり重要度の高い国道だと思うのだけど、そういう道でさえ除雪を諦めるのか。それがいっそう恐怖心を煽る。勝手に怯えてるだけなのになぁ・・・。

「あっ、ようやっと反対が来た。」

高槻(たかつき)が言う。

「ふぅ・・・。すっげぇ安心するなぁ・・・。対向車のあるありがたみ・・・。」

 もう少し走ると工事の予告が出てきた。それらしいものはトンネルで行われているらしく、トンネル内で止まっている車の後ろに僕たちは付いた。それからは並んだ車の後ろを60キロくらいのスピードで走る。前に大きいトレーラーがいるから、これくらいのスピードになるのは仕方ないか。

「それにしても、トレーラーの後ろのプリウス、下手くそだな。」

高槻(たかつき)が言う。

 そのプリウスは大きいトレーラーにぴったりとは言わないが、かなりくっついて走っている。あの状態では前なんて見えるわけがない。それに煽っているにしても、追い抜くにしても場所が悪すぎる。あれじゃあトレーラーがブレーキかけたら対応できないし、追い抜くにしても前が見えないから、前の状態を十分に把握できない中で追い抜きを行わざるを得なくなる。

「ああいうのも今日のプリウスの一つだな。」

「だな・・・。」

そのプリウスはかなり危ないタイミングでトレーラーを抜いていった。最初から最後までバカ丸出しな運転だな・・・。


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