9019列車 良き峠
北海道旅客鉄道深名線朱鞠内駅跡→朱鞠内駐車場
朱鞠内駅跡を出てから、国道275号線を走る。朱鞠内の街を出てすぐに上りに転じた道路を時速70キロで走っていくと朱鞠内湖駐車場という看板が見えてくる。
「後免、ちょっと寄る。」
僕はそう言い車をすぐに見える駐車場に止めた。
「ちょっと見てみよう。日本最大の人造湖。」
そう言い車を降りた。駐車場のすぐ脇には展望台のようになっている場所がある、そこから朱鞠内事欠かれた方角を見てみるとそれはあった。紅葉でカラフルに染まった木々の影に大きい湖が見える。あれは雨竜第一ダムが形成する日本最大の人造湖朱鞠内湖で間違いない。展望台から見る超巨大な湖は琵琶湖を思わせる。てか、琵琶湖よりも大きいんじゃないかな。そんなわけないけど。
「永島、お前いつから湖推しになったんだ。」
「別に推してるわけじゃないって。ただ、見てみたかっただけ。」
僕は高槻にそう言った。しかし、大きいなぁ・・・。
「今、JR北海道バスが通ってった。」
今治が別の話題をもってくる。そのバスはこの辺りを通っていた深名線の代替バスである。
「追ってみよう。」
朱鞠内駐車場→道の駅びふか
車のエンジンをかけ、国道275号を飛ばす。法定速度で走るJR北海道バスにはすぐに追いついた。ちょっと左を見る。木々の影から水面が見える。これも朱鞠内湖だ。バスを追いかけている間に5キロ以上は走ったと思うが(それはない)、その巨大さを思い知る。ビワイチするドライバーもこんな感じになるのかな・・・。
しばらく北海道バスの後ろについて走る。風連・士別方面に分かれる道道729号が分かれてから国道275号は朱鞠内この東橋に到達する。それからは峠道になり、片勾配の道が続く。さすがにこれ以上北海道バスの後ろを走っていられないので、バスを抜くことにした。
次に街の風景が見えてくるとそこは母子里という場所である。深名線は国道275号の反対側を通って母子里に至っていた。
上の道路看板をチラッと見上げると左に「蕗の台」という文字が目に入った。
(行きたいかも・・・。)
と思ったが思いとどまった。今、蕗の台に行ったら美深、音威子府、敏音知への到着が遅くなってしまう。旅の主催者でない僕だし、蕗の台に行ってしまうと実際どうなるかも分からない今、勝手なことは出来ないからな。
そのまま車を飛ばす。母子里の街を過ぎまた峠道に入る。トンネルは行く手にいっこうに現れず、山の傾斜に沿って高度を上げていく。ちらりと辺りを見るといい景色が広がっている。クソ、運転していなければ写真を撮りたい風景がそこには広がっているというのに。しばらく坂をあがって、下りに転じる。車はほっといても時速70キロ以上で駆け下りていく。
「おお。」
カーブを曲がると一直線に伸びる道路の前に紅葉で色づいた山が見えるようになる。これいいなぁ・・・。本当に、運転していなければ写真を撮る風景だ。
(ああ、もったいない事したかも・・・。)
今思えば、後ろから車は来ていなかったんだし、路肩に寄せて写真を撮れば良かったかもしれない。
峠道を抜けて、美深の街へと入る。しかし、道の駅びふかは美深の街中にはないようだ。国道40号に入って、しばらく道なりに走り道の駅びふかに到着する。予定より5分程度の遅れをもって到着したが、あれだけよって幌加内から美深までの遅れを5分に抑えられたのは凄い・・・かな。ああ、疲れた。