9010列車 戦闘服
10月16日。僕は荷物をまとめて、三ノ宮駅に行った。三ノ宮への酒豪は7時20分。栗東駅を5時台に出発しても間に合うが、遅れたくはないから4時50分の始発列車で向かうことにする。
栗東4時50分→三ノ宮6時25分
栗東→京都間の乗車券使用開始および終了
京都→大阪間の乗車券使用開始および終了
大阪→三ノ宮間の乗車券使用開始および終了
(ちょいと寒いなぁ・・・。北海道にはフル装備が出来るようにしたけど、大丈夫かな。)
僕は走る列車の中でそう考える。
そもそも着込めば問題ないことだ。ただ、今回はそれが出来ない理由がある。僕がもっていくのは2日分の着替えと、寝袋。寝袋は持っていく荷物の半分を占め、2日分の着替えは下着類と靴下、ハンカチだけに絞ってある。着ているものはスーツだ。スーツの有用性をあるユーチューバーを見て理解している一方、スーツの耐寒耐雪装備としての脆弱性も分かっているつもりだ。北海道にそれで乗り込むのはある意味無謀と言えるかもしれない。
「・・・。」
ほとんど車の中にいるんだ。問題は無い。僕はそう言い聞かせることにした。
三ノ宮駅に到着すると、僕はすぐに阪急三宮駅西口改札前にあるマックに駆け込む。朝ご飯の代わりにするのだ。そこで7時00分まで時間を潰し。荷物を持って、三ノ宮駅東口改札口に行く。ポートライナーのある方向から階段を降りるとそこには久しぶりの顔が合った。
「おい。」
後ろから膝のあたりをちょこんとつつく。
「おう。久しぶり。」
と今治。
「これから北海道に仕事にでも行くんですか。」
と高槻が続ける。
「何を言っているんだい。これから北海道に真面目に遊びに行くんだよ。」
と返してやる。
ちらりと2人の持っている荷物を見てみる。今治の荷物は3つと寝袋を裸で一つ。高槻の荷物は大きいキャリーケースを一つだ。恐らくあの中に寝袋が入っているのだろうが・・・。
「ナガシィ君に持つまとまりすぎじゃない。」
「荷物が圧倒的に少ない。」
僕の荷物は肩掛け鞄一つになる。かさばりはするが、重さも大きさもそれほど問題にならない。
「スーツの有用性に気付いたんだよなぁ・・・。」
僕はそう言った。
スーツの有用性というものは言うまでも無い。ワイシャツぐらいで着替える必要性がないこと、旅行でもっともにもつになる着替えを抑えることが出来ること。それがスーツの有用性だった。
7時20分になって以降、ポートライナーで神戸空港に向かう。神戸空港からはスカイマークの新千歳行きに乗り込み新千歳へと飛ぶ。
三宮7時21分→「ポートライナー」→神戸空港7時40分
三宮→神戸空港間IC乗車券使用の乗車
神戸空港→「スカイマーク171便」→新千歳空港
スカイマーク171便航空券使用開始および終了
北海道に着くとやはり10月。かなり寒い。スーツ出来たのは失敗だったか・・・。そういう考えが頭をよぎるが・・・。
「北海道に仕事しに来たんですか。」
「真面目に遊びに来たんだ。」
僕はそう言う。スーツを着ていることに違和感しかないだろう。しかし、真面目に遊びに来た事実だけは変わらない。
「遊ぼうぜ。」
新千歳からはレンタカーを借り、僕たちは北海道の大地へと駆け出す。最初の目的地は砂川サービスエリア・・・。