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第8話(お姫様が俺の侍従(メイド)になりました)

 ここでお姫様であるミカがお礼として侍従メイドとして俺についてきてくれるらしい。

 でもなんで侍従メイドなのだろう?

 普通に案内人でいいと思うが、どうしてその選択をしたのか?


 多分大した意味はないと思うのだが、それでも気になったので、


「なんで侍従メイドなんだ? 別にメイド服が着てみたかったから、というオチではないよな?」

「……」

「……まさか」


 黙ってしまったミカに俺は嫌な予感を覚えているとそこでミカが顔を真っ赤にして、


「い、いいじゃない。城だと使用人の服だからって、可愛いああいった服、コスプレ? だか何だかが出来ないし」

「コスプレ……異世界でこの言葉を初めて聞いた時は、異世界じゃなくて何処かのテーマパークに来たんじゃないかって疑惑を覚えたんだよな……」

「確か異世界の文化だったかしら? コスプレ」

「そうだな。それも狭い範囲のもので……というか、服が着たいからというだけだったのか」


 それを聞いて俺は、嫌な予感はそこまで当たらなくてよかったと思う。

 ただ単に可愛い服が着たいだけだそうだ。

 このミカというお姫様にもそういった欲求があったらしい。


 それにミカ自身も美少女なので、さぞ美しい侍従メイド? になる事だろう。

 それはそれで楽しみな気がした俺だがそこで、ミカが更に、


「そ、それに、何かをお礼にする時は、手持ちのものでできない時は侍従メイドになるのよって……聞いたから」

「……それは一体どこの世界の常識なのでしょうか」

「私の……“裏切った”侍従メイドがよくそう言っていたの」

「そうですか……」


 俺はそれを聞きながらそれ以上聞けなくなった。

 このミカというお姫様はその侍従メイドを信頼していたからだ。

 そう思って黙っているとそこでミカが、


「これって一般常識でなかったりするの?」

「えっと、はい。あ、で、でもそういったことを言っているような人物は前にもあったので……もしかしたなら、この世界のどこかにそう言った風習のようなものもあるのかもしれない」

「そ、そうなんだ……うん」


 そこで、ミカが少し安堵したようだった。

 ただ、お姫様なので少し世間知らずなところがあるのでは、と思ったが俺はそれを言わない。

 それに、ミカにそれを教えた人物が俺の知っている人物である可能性が……ないな。


 あれは侍従メイドをやるような人間ではない。

 俺はあまり思い出しちゃくない人物の記憶が噴出してきて、考えないようにしようと自分に言い聞かせた。

 と、そこでミカが、


「でも侍従メイドなわけだから、リクの事は“ご主人様”って呼んだ方がいいかな?」

「……お姫様に“ご主人様”呼びされるとその……夫といったようにとられかねない気がするので、そこは、リクと名前呼びでお願いします」

「わかったわ。他の人がいない所で、“ご主人様”と呼ぶわね」


 そう悪戯っぽくミカが笑う。

 俺は、やめてくれと思ったけれど、“ご主人様”呼びの欲求にはあらがえずその件については黙ることにした。

 代わりに、


「そろそろ町に移動しよう。宿も探さないといけないし」


 そう返したのだった。

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