表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

62/63

第62話(魔王との戦い)

 悲鳴じみた声と警告の鐘が鳴り響く。

 “魔王”が来たぞと叫んでいて、結界が強化されていくのが見て取れる。

 だが俺としては、


「“魔王”ってどうしてわかるんだ? 見たことがなんじゃないのか?」

「自分で名乗ったんじゃない? その方が恐怖を煽れるから」


 窓から様子を見ていた俺に背後でソニアが答える。

 いつの間にかこちらに来ていたらしい。

 ノックもしないあたり本当に切羽詰まっているのだろう。


 そう俺が振り向くとソニアが珍しくまじめな顔で、


「手伝ってほしいの。遺跡にきて。どうもあそこに“魔王”達は移動しているみたい。“魔王”は私の手にあまる。上級魔族もいるしね」

「わかった。……ミカとレーニアはここに残ってくれ。もしくは魔族が来て危険そうだったら逃げるように。セリア、二人の事は頼む」

『分かりました』


 セリアが答えるのを聞き俺が行こうとするとそこでミカが、


「わ、私達も……」

「敵に人質に取られると一番まずいからな。……それにこの様子だと町の方に魔族が襲ってくるかもしれない。俺がいない間、町の方をもしもの時は頼んだ」

「……分かった」

 

 ミカが頷いてレーニアも小さく震えながら頷く。

 そうしていると今度は別の人物が現れた。


「“魔王”が現れたそうだが」

「ちょうどいい、ラグド。もしもの時はレーニアとミカをよろしく。それと、その剣の使い方は分かるか?」

「それは、まあ……」


 頷くラグドに俺は、昨日伝説の剣を渡しておいてよかった、そう俺は思った。

 ミシャにも伝説の杖を渡しておいたから大丈夫だと思う。あとは、


「軽くこの町の結界を強化しておこう。既に内部に入り込んだ魔族は仕方がないか……内部からは逃げられるが外部からは人間以外ははいれないようにして……」


 そう、特殊能力チートによって強化する。

 結界が強くなったのを感覚で理解しながら、


「それじゃあちょっといってくる。遺跡の方にいってくる。……気づかれないようにしたいから、森の中に一時的に入り込むか」


 俺がそう言うとそこでソニアが、


「その方がいいわ。それに敵である魔族は最終的に全員倒さないといけないから……」

「集まっている所を進みながら倒していく方がいいか。わかった、じゃあ、いってくる」


 そういった話をソニアとする。

 後は行けばいいだけだった。

 遺跡の近くに空間内の情報を読み取って接続をする。


 闇の魔力が強く感じられるなと俺は思いながら、空間をまたぐようにしてそちらに向かう。

 ソニアが移動したのを確認して、接点を解除する。

 時間はそんなにかからないだろうと俺は予測していたし、実際に遺跡に入り込んで、“魔族”との戦闘をするのにはそこまで時間はかからなかった。


 だが、彼らの……“魔族”の目的ではそれで十分だったのだ。

 俺がそこにいると分かっていたわけではない。

 そしてミカやレーニアがその部屋にいると知っていたわけではない。


 ただ、“魔王”の用心深さが、彼らを偶然その場所に引き寄せたのだ。

 それを俺達が知ったのは、この調子で“魔王”を倒せばいいと、あの遺跡内で見つけた扉を開きに行ったその時だったのだった。









 リク達がいなくなったすぐあとの事。

 結界の振動する音が聞こえて、不安が募るとミカが思って窓から空を見ていると、ラグドが、


「リク達が心配なのか?」

「それはそうですよ。SSSランクといっても魔王相手ですし」


 ミカがそう答えてから、レーニアの方を見る。

 レーニアは頭を抱えていた。


「リクは大丈夫でしょうか? そしてどうしてこんな事に」

『本当にね。どうして突然“魔王”が出てきたのかしら。あの遺跡がそんな重要拠点だった?』


 そういった話をセリアとレーニアがしているとそこで、それにこたえる声があった。


「“魔王”様は、今回は用心深くあらせられるのだよ。すでに何人もの魔族がこの町にきて消えている。消息不明ともなれば確認に来るさ。今回は勝利するために我々も警戒していたのだ。そして……それは良かったようだな」


 知らない人物の声にミカ達が振り返るとそこには、三人ほどの魔族がいた。

 だがこれまでであった魔族と雰囲気が違う。

 “怖い”、そうミカは思った。


 するとそこで魔族の一人が、


「ここでは精霊関係を調べていたからその痕跡が残っていないかの確認と、ここに洗脳した人間を送ったのに戻ってこないから、我々の計画の一端を悟られたのかと思い確認したが……石の回収だけではなく、あの人物も一緒にいるとは我々は付いている」


 そう言ってミカとレーニアの方を魔族が見る。

 一緒にいたラグドが剣を構えるもすぐに魔族は、こういった。


「我々も手荒な真似はしたくない。そして、もしそこの……ミカ姫だったか? 一緒に来てもらえなければ……故郷の国がどうなってもいい、そう我々は受け取るだろう」

「どういう意味?」


 ミカがそう聞き返すとその魔族は、


「そのままの意味です。貴方の国の周りにはすでに我々の仲間が取り囲んですぐに攻撃できるようになっています。本当はその攻撃であなたの居場所をは仮設予定でしたが、幸運は我々の味方であったようです」


 そう魔族は笑い、悔しそうに黙るミカにその魔族は、


「さあ、どうしますか?」


 魔族のその言葉に、ミカは……。 

 






 遺跡に入り込んだ俺達は順調だった、といっていい。

 

「このままいけば余裕だな。……今の所は」


 そう俺が言うと、ソニアが、


「そうなんだけれど……そんな風にうまくいくかしらと思って」

「そういった前振りはやめてくれ」

「ははっ、でもあともう少しで扉の前だし、そこに“魔王”がいると思うとね」

「“魔王”に思う所があるのか?」

「それはそうよ。大体の事はお姉ちゃんにお任せして放蕩妹をやっていたわけだけれど、それでも何度も“魔王”と遭遇したし、こう見えても古代魔法文明の頃だって、“魔王”とお姉ちゃんたといと一緒に戦ったのよ?」

「そうだったのか」

「そうなの。その程度にこの世界には愛着があってね。……何度も倒して、でも復活して……けれどいつも思うのよ。一度でも失敗したら、この世界は終わりだって」

「……」

「作り直して別世界を……というのもなんかこう、ちょっと違ってね。同じものは作れるけれどなんかこう、“違う”の。これが愛着ってものかもしれないわね」


 そう言ってソニアは笑っていう。

 彼女なりにこの世界の事を考えて、行動をしているのかもしれない。

 そう思って黙って聞いているとそこでソニアが、


「そういえば貴方と一緒にいたレーニアちゃんだったかしら」

「そうだな。それがどうかしたのか?」

「確かこの遺跡を作った子があの子に似ているなって」

「そのせいであの鍵のようなものにそうぐうしたとか? 子孫だから?」

「さあ、それは分からない。何となく懐かしい気がしたから、ちょっとね」

「そういうのは分からないのか?」

「お姉ちゃんならわかるかもだけれど、そっちの方は私はあまりやってこなかったからね~」

 

 そこでソニアが放すのを止めた。

 俺達が今走っているのは、扉へと続く道だった。

 石でできた少し薄暗さのある道の先には明るい大きな広い場所が見て取れる。


 この位置からはまだ魔族は全員見えなかったのだが、その代わりにある人物たちが俺達から見える。

 というよりも、丁度連れてこられたばかりのようだった。

 そこにいたのは町にいるはずのミカとレーニアがった。


「なんでここにいるんだ?」

「どうしてばれたのかしらね? その話をしていてもどうにもならないから、まずは救出かしら」


 そう俺達は話して様子を見る。

 どうやらまだ俺達がここにいるのに気づいていないらしい。

 運がいいと俺は思う。

 と、そこでレーニアに魔族たちが何かを話しているのが聞こえる。


 おそらくは扉を開くよう言われているのだろうが、うまくいかないと何かを言っているらしい。

 かと思うとそこで、レーニアから石を取り上げている。

 だがそれは俺が作った偽物の方だ。


 魔族がそれを握って何やらやっている。

 さて、どうしよう。


「考えてもどうにもなりそうにないな。とりあえず一気にあちらに向かって、ミカとレーニアを回収しよう。……彼らの前に一気に転移するが、いいか? 今回は転送の形だ」

「いいわ」


 そのソニアの答えとともに俺は、一瞬にして魔族たちの前に躍り出る。

 突然目の前に現れた俺達に魔族や……その中でやけに大きい黒い角をはやした肌が見宇色をした人物と目が合った。

 即座に俺は防御を張りつつ、俺はミカとレーニアの手を引きつつ、ソニアには魔族へと攻撃してこちらに手出しができないようにしてもらう。


 爆音が響くも、すぐさま俺達はそこから二人を連れて、数十メートル離れた場所に移動する。

 ちなみにレーニアとミカは何が起きたのかよく分からなかったらしく、声すらあげれないでいたが……。


「大丈夫か?」

「……うん」

「……はい」

『ふう、いつ殴ろうか様子をずっと見ている羽目になりましたよ~』


 そう言ってミカとレーニア、そしてレーニアにとりついていたセリアが出てくる。

 どうやらセリアは隠れて様子を見ていたらしい。

 とはいえ上手く人質が回収できたと俺が思っているとそこで、


「そうか。お前がここに送り込んだ魔族を倒していたのか」


 と、角の大きい人物が声をかけてくる。

 魔力が大きいのでおそらくは“魔王”だろうと俺は思うのだがそこで、


「私は“魔王”だ」

「自己紹介をありがとう。俺はごく普通の異世界人です」

「……なるほど、異世界人か。道理で強力な魔法が使えると思った」

「どうも。そして人質は返してもらった。あとはお前たちを倒すだけだ」


 そう俺が告げるとその“魔王”は皮肉気に俺達を見て笑った。

 

「できるのかな?」


 などと余裕げに笑ったのだった。







 “魔王”は相変わらず余裕めかして笑っている。

 そんな状況ではないのに妙だと俺は思っていると、“魔王”が、


「送り込んだ魔族が全員帰らないから怪しいと直々に様子を見に来たかいがあった。しかもあの部屋に目的の人物たちがいるとは思わなんだ……確認のために向かわせたのが今回は正解だったようだ」

「あ……もしかして、精霊のセリアをあそこから動けないようにするといった実験をしていたのはお前達か?」

「そうだ。もしあの場所から我々の計画の一端を知られて、我々の方にまでたどり着いてしまえば元も子もないからな。……今度こそお前たちをほろ細いてくれる」


 そう笑うこの人物、“魔王”を見ながら俺は、


「それで、人質はとり返したのにどうしてそんなに笑っていられるんだ? 後は俺達が殴り飛ばせば終わりだぞ?」

「殴り飛ばす? そんなことをして、我々の機嫌を損ねてどうするつもりだ?」

「? 人質はこちらにいるだろう?」


 そう俺が返すと“魔王”はさらに楽しそうに笑う。

 もったいぶった言い方をしないで欲しいな、と俺は心の中で愚痴をこぼすとそこでミカが、


「あ、あの“魔王”が私が協力しないと私の国を亡ぼすって……魔族が大量に向かっていたって」

「そんなことを言っていたのか」


 俺は呆れたようについ言ってしまう。

 まさかそんな脅しにもならないような内容にミカが……そういえば、ひょっとするとミカは“忘れて”いるのだろうか、とか、そういえばどれくらいの威力があるのか見せてなかったな、とかいろいろと俺は考えているとそこで“魔王”が、


「しかもあの国の結界をつかさどる魔道具の多くは我々の手の中。これではあの国も手も足も出まい」

「あ、はい。なるほど。そういえば俺がミカと出会ってまだそんなに日にちが経っていなかったな……そういうことか」

「? どうしたのだ?」

「いや、そうだな“確認”はしておいた方がいいよな」


 俺はため息交じりに、特殊能力チートを使った。

 ミカの城、場所はこの前の所と同じ場所だ。

 とりあえず声を俺はかける。


「もしもしこんにちは~、この前連絡した異世界人です!」


 そう声をかけると誰かがこちらに集まってきているのを感じる。と、


「ミカは、ミカは大丈夫なのか?」

「お父様!」

「おお、ミカ……今はどうしているんだ?」

「今、“魔王”にさらわれたところを救出されている所です」

「え……」

「そしてそちらの状況……魔族に襲わせると脅されているのです。今の状況はどうですか?」


 ミカがそう聞くと焦ったように、ミカの父親が、


「強化された魔道具のおかげで魔族は一人も入れないどころか、結界に触れるだけで倒されたりしています。……だから心配しなくていいぞ。というかもうそろそろ危険な場所から帰って……」

「ありがとうございます、お父様。状況は分かりました。リク接続はきっていいわ」


 ミカの容赦ない言葉に父親が何かを言おうとしていたが、あまり長く話しているといつまでも“魔王”が倒せそうにないので、空間の接続を切り話を終わらせた。

 ふうこれでもう特に何もないよなと俺が思っていると、


「ば、馬鹿な。そんな馬鹿な」


 といったように魔王が呟き始める。

 何がそんな馬鹿な何だろうなと俺は思いつつ……俺も言いたいことがあったので、言うことにした。


「俺さ~、実は魔王討伐パーティから追放されて、本当はスローライフをする予定だったんだ。ちなみにその魔王討伐のパーティに入ることになったのは、お前らのせいらしいが。それは置いておくとして、なのにここで魔王と戦い羽目になってさ~、酷い話だと思わないか?」

「な、何がだ?」

「……スローライフという俺の穏やかな日々(予定)をつぶしたお前たちは、絶対に、ゆ・る・さ・な・い」


 そういった瞬間俺は自分の口元が怒りで上がるのを感じた。

 そしてここで恐怖を感じたらしい“魔王”が俺に向かって攻撃を仕掛けてくるが、


「遅い」


 ひとことそうつげて、この魔王程度を倒すような魔法を選択する。

 雷と風、氷の魔法を混ぜたもので、前の世界では結構よく使ったと思い出しながら、


「“綺羅の光を抱く世界シャイン・ダウンバースト”」


 そう呟いて攻撃を加えた。

 目の前が真っ白に染まり、ぱちぱちと黄色い光が走り……やがてやむ。

 そこにはすでにその“魔王”の姿はなかった。


「ふう、これで完了だな。さて、残りは魔族たちだけか」


 その言葉に魔族たちが、今の光景が信じられず、“魔王様”と呼んでいるが……俺は待つつもりはなく、


「ソニア、そしてミカ、レーニア、セリア、手分けして倒して町に帰るぞ」

「「「「おおお~」」」」


 そんな答えと、ソニアの相変わらず企画がイネと呆れたように言う声を聞きながら俺は、彼らに向かって走り出したのだった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ