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第61話(この世界の秘密)

 それから軽くその大事なものを守っている扉と、倒した魔族の様子だけは確認しようと俺は提案する。

 するとソニアが、


「どうして?」

「“魔族の核”の部分? に当たるものを回収して、ちょっと試したい事があるんだ」

「へ~、興味があるわね」


 といった話をしながらそれらを一通り回収して、そのレーニアの石によって開かれるだろ扉を確認しに向かう。

 もしもの時のための用心も兼ねて確認しに行くも、そこには大きな扉がある。

 細かな幾何学模様が描かれて美しいが、その色と線の一本一本に複雑な魔力が感じられる。


 それを見ながら俺はレーニアに声をかける。


「その変な石? か何かを使ってあの扉を開くのか? よくある設定だと」

「……設定って何ですか」

「とりあえずこの石とそこの扉の解析でもするか。丁度複製してあるし」


 そう俺は答えて、とりあえず俺は石と扉を“解析”して、ちょうど魔法が重なり合うのを確認する。

 どうやらあの青い石に魔力を注ぐだけでこの扉は開きそうだった。

 それだけを大まかに確認してから俺達は、その場を後にしたのだった。







 そして自宅に戻る途中、自宅前にやってきたところで……俺たちの借りている建物から誰かが出てきた。

 魔力の気配がして、おそらくは“魔族”の気配が周りにあって操られているようだ……でも偽装されているらしいから通常では普通の人間に見えるか? と俺はすぐにわかるが……。

 ここは人が多いから人気のない所で……などと俺が思っているとそこでレーニアにとりついていたセリアが、


『あら? あそこにいるのは私をあの部屋に閉じ込めた人たちですね』

「なんだって!?」


 セリアがそんなことを言っていてしかもラグドが、


「あの人たち、あの部屋に幽霊が出る前に住んでいた人たちだな。でもなんでここに……」

「偶然って怖いよな。とりあえずはあの人たち、“魔族”に操られているようだからそれを解除して……その後はどうする? どこに保護してもらう? ……ギルドに連れていくか」


 あそこならば魔王討伐関係の情報もあるだろうから連れていけばどこかに彼らを保護してくれるつてがあるかもしれない。

 そう俺は思ってミカ達に、


「先に部屋にいって待っていてくれ。俺はあの人たちを回収する」

「わかったわ」


 ミカの答えを聞きながらそして俺はラグド達に、


「ラグド達は……今回の件にはもう少し踏み込みますか?」

「そうだな……色々と込み入った話にはかかわらないようにしているから、今回は手を引かせてもらうよ。またパーティに誘うことがあるだろうからその時はよろしく」

「こちらこそよろしくお願いします」


 といった話をしてラグド達とは俺は分かれて……ソニア達には部屋に戻ってもらい、俺は先ほどの建物から出てきた人物たちを追いかけたのだった。










 操られたらしい人物は三人ほどだったが、無事彼らの洗脳? のようなものを解いて、恐慌状態になっている彼らを連れて俺はギルドに向かう。

 そして事情を話して彼らを保護してもらうことに。

 都市の方に連絡をしてもらい、この人たちを連れて行って魔族の動向などを知るのに役立てるそうだ。


 ちなみに俺が所属していな勝った方の国保護してもらうようお願いした。

 異世界人ではあるが、SSSランクという評価がここでは役に立ったらしい。

 魔族を倒してきた実績とそれが合わさり、すんなり信じてもらえた。


 そしてもし何かあったなら俺に連絡をくれるといった話をして俺はギルドから帰ることに。


「……あまりにもうまく行き過ぎた気がするが、うん。いちいち気にしていても仕方がないな。こういうこともある」


 そう俺は自分自身に言い聞かせて、家に戻ったのだった。








 家ではミカが何か料理を作っていた。

 そして俺はお姫様が料理を作る……なぜだれも止めなかったのだろうか、と不安に思ったが、レーニアは机にうつ伏していて、ソニアは面白そうにその様子を見ているだけのようだった。

 そこで俺が返ってくるのに気付くとレーニアがゆっくりと俺に向けて顔をあげて、


「私は頑張りました。私一人で頑張りました。でも無理でした」

「そ、そうか……それでソニアはどうして止めなかったんだ?」


 レーニアは頑張ったらしいのでソニアに聞くと、


「ミカ姫が頑張っているのを止められるわけないかな?」

「絶対面白がっているだろう? お前……ああ、どう考えてもパンケーキらしきものが炭になって積まれているな。……解析出は仲間で済みだし味も大変なことになっているみたいだ……ああ……」


 俺の嘆きにそこでようやく最後の一枚……黒いものを焼き上げたらしいミカが怒ったように、


「何よ、一生懸命頑張って作ったのに」

「解析だと死ぬほどまずいそうだからここで終わりだ。あとは俺がやる」

「! そんな!」

「この黒い物体は後で俺の特殊能力チートを使って別のものに組み替えよう。そしてこれから俺がパンケーキを作るから、そこに座っていてくれ」


 そう言って何とか嫌がるミカを台所から離れさせて簡単なパンケーキとベーコンエッグ、キャベツのようなものの千切りを用意する。

 ジャムやシロップ、バターを添えて、ついでに沸かしておいたお湯でお茶を作る。

 それらを短時間で作り上げて俺は全員の前に並べてから、


「これを食べながら、話をしよう。遅い昼食になったけれどな」


 と言って話を始める。

 料理は好評で、ミカが呻いたりしていたが……それでも情報交換をしてから俺はソニアに、


「だいたい俺が聞きだしたのと同じ内容だな」

「そうなの?」

「そうそ。話を聞き出す前に倒すのかと俺は思ったが」

「失礼ね。……私一人だと思って油断したらしくて、勝手に魔族の人達はお話してくれたわ。でも、誰も私が“女神の妹”だって全然知らないのよ。確かに女神らしいことはしていなかったけれどさ~。とはいえ、隠密行動には向いていて楽しいわ」


 そうソニアが楽しそうに言うのを聞きながら、そういえばソニアはこんな人物だったなと俺は思う。

 それを聞きながら俺は、


「ミカの力を使って、精霊を操ってあの遺跡を動かすとか、そこの道に至るまでの扉を開くのにレーニアが必要とか、簡単にまとめるとそういった話だな」

「そうね。長々と話していたけれど、一行でまとめるとそんな感じね」

「はあ……でもそう考えるとミカとレーニアはこの町から非難させた方が良かったりするのか?」


 俺がそう話すとえっ? といった顔にミカとレーニアがなるも俺としては、


「だって遺跡の近くにそういった人物がそろっているのは危険じゃないか」

「で、でも私、俺値としてのメイド生活が……」

「わ、私も財宝探究者トレジャーハンターとして……」


 などと言い出したので俺は、


「魔王が倒されたら戻ってくればいいだろう。それまでの間の我慢はいいだろう?」

「「う~」」


 唸るようにつぶやく二人だがそこでミカがはっとしたように、


「そうよ、リクに魔王を倒してもらえばいいんだわ」

「俺、スローライフがしたいんだ」

「……」

「あいつらを思い出すような魔王討伐の話はやめてくれ」


 俺がそう言うとミカが沈黙してくれた。

 そして俺はもうこの話はしたくなかったので話題を変えることにする。つまり、


「ソニア、ソニアは昔からこの世界にいてこの世界の事に一番詳しいんだろう?」

「そうだけれどどうしたの?」

「話のタネに聞きたいことがあるんだが」

「いいわよ~、何が聞きたいの?」


 といったように得意げにソニアが俺に聞いてくるので俺は、


「そうだな。まずは……俺たちの世界のSFにあったような、実は古代魔法文明の人間と、今の人間は全くの別の種族だったんだ! みたいな展開はどうだ?」

「異世界にはそんな設定の小説か何かがあるの? 面白いわね。でも残念ながら、その時代の人間の子孫が、今の時代の人間だよ」

「そうなのか~」


 どうやらそういった設定は全くないらしい。

 これは後で、ホラでも吹く時にでも使おうと俺が決めているとそこでソニアが、


「ちなみにある意味で新しい“精霊”や“魔族”も古代魔法文明の子孫と言えるのよね~」

「? どういう意味だ?」


 知らない情報がソニアからもたらされて俺は聞き返すと、考えるように少しソニアは黙ってから、


「う~ん、リク達なら話してもいいかな」


 と言ってソニアが話してくれた内容はこうだった。

 何でもその昔、古代魔法文明は“不老不死”の研究をしていたらしい。

 結果としてそれは失敗したらしく、“精霊”と似たメカニズムにより作られ、特定の集団の思想と人格移植によって? 魔族という名の選民思想の塊のようなものが生まれたらしい。


 そしてその時に、効率的に魔族をまとめ上げて、かつ、力の強い“魔王”なる存在を作り出したそうだ。

 それらを作った魔法文明の方は、“制御”が出来ると考えていたそうだが、結果としてそれは失敗になり人類に牙をむき……魔法文明側も、対抗処置も兼ねて、この世界に存在するこちらも“精霊”のメカニズムを使いつつ、人格移植ではなく“知識”や“能力”の移植? 組み込み? 道徳心のようなものの移植? によって新しい“精霊”を作り出したらしい。


 ただ魔王との戦闘によって、現在のレベルにまで弱体化? させた関係で魔法文明は一度文明崩壊を起こし、現在に至るという。

 けれど確実に魔王は幾度となく復活するため、それに対抗するために、ギルドに異世界人も含めて登録させることで、その時に魔力を少量回収し、その人物の能力などを解析してそれと同じような能力を持つ“精霊”を作り出して、将来に備えているとかなんとか。

 そして異世界人の選定や召喚は女神さまが行っていたらしいといった話を聞きながら俺は、


「でも“闇の魔力”が“魔族”からは濃く感じられたが……他の世界の魔王や魔族となんだか違うな」

「ん? リクは他の世界を知っているの?」


 そこでソニアが興味深そうに俺に聞いてくる。

 それに俺は頷き、


「以前別の世界で呼ばれて、魔法を使ったりしたからな。この世界でもその知識が生きたよ」

「道理でやけに魔法に詳しいと思ったわ。その世界の魔王はどんなものなの?」

「世界を滅ぼす作用を持つ魔力に意思が付いたようなものか。光の魔力が(プラス一)だとすると、闇の魔力が(マイナス一)で、組み合わさると消滅するが……自分が“生き残る”という意思があるから、相手を消そうとする、そんな存在だったな。ただその魔族側が支配すると世界そのものが変質して別物になり、女神としてはその世界は“失敗”となってしまい、女神そのものが消失するとかなんとか……」


 そう俺が放すとソニアが、


「すごいわね。よっぽど強力で名のある女神の世界にいたのね。うちの姉は比較的、弱い方だからそうはならないわ。扱える世界創造関連の力が少ないから。でもついでで話しおておくと、魔力の中であまり使われていなかった“闇の魔力”の方で“魔族”を作れば強い力が得られるのでは、といった側面もあったらしいのよね。そしてその“闇の魔力”に引っ張られて、ああいった破壊衝動が強く出ているのではといった話もあるわね。とまあ、そういった話もあって、それでこの世界ではああいった強い力を持つ“魔族”が現れてしまったというわけ」

「この世界もまた変わった事情があるんだな。でもそういえば今日倒した魔族の話からすると、精霊はこの魔族たちとは敵であり、古代魔法文明と関係しているようだったが……後で話のタネに聞く予定だったんだよな」

「話のタネになった?」

「この話ってばらして広めて良い物なのか?」

「無駄に混乱するか、まともにとりあってもらえないんじゃない?」

「じゃあ意味がないな。残念だ。話のタネにならない」


 そう俺は嘆いているとソニアが、


「相変わらずリクは面白いわね。他に何かある?」

「そうだな。ダンジョンと古代魔法文明の遺跡が、中で鉱物などが取れたりする理由は何なんだ?」

「理由? 遺跡の存在を忘れないでもらうためよ。そうすることで、魔王との今後の戦闘に……何らかの形で伝承が失われても、場所の存在や構造が分かっていれば、使えるかもしれないでしょう? 魔法文明内では有用な植物や鉱物を人工的に作り出すのにある程度成功していたしね。必要な魔法物質に関しても、合成なんかもしていたし」

「……その文明が崩壊して今に至ると」

「ええ。でも、今度は少し別の形で人間は緩やかに進化しているみたいだしそれはそれで見守る価値が十分にあると思っているわ」


 そこでソニアが嬉しそうに語る。

 こう見えても女神の妹なだけあるのかもしれない。

 などと思っているとそこで、凍り付いたように動きを止める三人に気づく。


「どうしたんだ」

「今の話は衝撃的でした」

「私も」

『わたしもです』


 ミカ、レーニアだけではなく精霊のセリアも初耳な話が混ざっていたらしい。

 それに楽しそうにソニアが笑い、


「こうやって驚いているのを見ると、話がいがあるわ。そういえば私も聞き損ねたけれど、魔族の核をづするつもりなの?」

「ん? いや、また魔族になったりしないように“組み替えて”“不活性”にしておこうかと」

「……え?」

「だから、不活性に……」

「つまり、魔族が再度復活出来ないようにするということ?」

「そうなるな」

「……それなら、“魔族”を“精霊”に変換できない?」


 ソニアが俺にそう真剣に聞いてきて俺は少し黙ってから、


「“精霊”がどんなものか俺は、セリアくらいしか知らないからもう少し沢山解析してみない事には分からない。だが、もしかしたらわかればできるかもしれない」

「そうなの!? 素晴らしいわ……。そのうち、試してもらいましょう」


 などと嬉しそうにソニアが話した所で、ソニアのお茶が空になる。

 お代わりがいるかと聞くとソニアは、


「もういいわ、ありがとう。さて、じゃあご馳走にもなったし、そろそろお暇するわ。今日は頑張ったからしばらくはゆっくりするわ。あ、明日遊びに来るかも」

「そうなのか? 変な厄介ごとは持ち込まないでくれよ?」

「わかったわ~」


 そう言って去っていくソニアを見送りながら俺は、


「さて、俺達も今日は頑張ったしゆっくりするか」


 といった話をしてその日は、適当にベッドでゴロゴロしたりして過ごしたりしおて、次の日もそんな日になると俺達は思っていた。

 だが、そんなわけではなく。

 次の日の朝食を食べたすぐあとの事。


「“魔王”がきたぞ!」


 そんな悲鳴じみた声と、悲鳴が大通りから聞こえて、警告らしい鐘の音が聞こえたのだったのだった。





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