第55話(魔族の目的)
一向に機嫌よさそうに暴言を吐く魔族に俺は面倒になり、ミカとレーニアの二人をどうしてこの魔族たちが狙うのかに話を戻した。
何しろこの魔族たちを倒すにしろ何にしろ、その情報だけは聞いておかないといけない。
でないと次に魔族が襲ってきたときに殴り飛ばして聞きださないといけなくなる。
それはそれで面倒くさいし、より強力な魔族で、ここでこの魔族たちを倒してしまった後だから、警戒心も強い人物たちかもしれない。
そうなると話を聞き出すのも一苦労だろう。
一応聞きだすための方法もあるが、あまり見た目上よろしくないし、聞き出すといった能力が他の人に知られるのもあまりよろしくない。
だから自分から話させた方がいいだろう、そう俺が思いながら聞くと魔族が不機嫌そうに、
「いい気になるなよ人間が。お前達はどうせ殺されるからと話してやろうとしているんだぞ?」
「どうだか。本当は俺達に逃げられると怖いから、もしくは、本当は大したことのない話なんじゃないんじゃないのか? 左遷されてきただけとか、な」
そう俺は挑発してやる。
実はたいしたことがない任務だからこんな所にきて……もったいぶってお前は話しているのだろう、そう言ったのだ。
すると、その挑発にこの魔族たちは簡単に乗ってくれた。のだが。
「ふん、そこまで大口が叩けるとはな。お前だけはすぐには殺さない。一番苦しめて殺してやる」
「……」
そこで俺が沈黙すると、恐怖で黙ったと思ったのだろう。
鼻で魔族が俺を見て笑ってから、
「ここは古代魔法文明の遺跡。そう、あの忌々しい古代魔法文明の遺跡だとおまえたちは知っているな?」
「それは……まあ……」
「我々魔族と敵対するこの文明だが、その“兵器”としての力は目を見張るものがある。だが、古代魔法文明の奴らは、我々に使えないようにある仕掛けを残していったのだ。おかげでここの遺跡は俺達には使えない。まあ、お前たち人間にもこのままでは仕えないから宝の持ちぐされといった所ではあるが……それでも、そこにいる小娘のおかげで、我々はその力を手に入れる事が出来そうなのだ。ついている。我々は付いている。今度こそ魔王様と我らが魔族がこの世界全てを奪えるのだ!」
そう陶酔するように魔族が語る。
猫のようなあの怪物すらも、目を輝かせていて……見ていると気持ちの悪い集団のように見える。
そこで魔族が更に話しながら機嫌がよくなっていったのだろう、秘密にしないといけないことを誰かに話すような“快感”を得ているのかもしれない。
などと俺が邪推していると、
「この遺跡、実は精霊にしか動かせないのだよ」
「え?」
「我々のような出来損ないではないと、古代文明の奴らが言っていた“精霊”だ。そして我々の敵でもあるが……そこの娘の特殊能力を精霊に対して使えば、操ってこの遺跡を動かすことも可能なのだ」
そう魔族は語る。
それを聞きながら俺はミカに、
「精霊も操れるのか?」
「え、えっと……分からないけれど、思い当たる節はあるかも。以前魔族と戦闘した時精霊が力を貸してくれたのだけれど……あとで、普通に“お願い”してくれたら聞いてあげたのにって、とても怒られた記憶がある。あの時はよく分からなかったけれどもしかして……」
そうミカが答えるのを聞きながら、それを魔族側が見ていたから気づいたのかと俺は思う。
だが俺としては、
「操るなら、ミカの能力でなくてもいいじゃないか!」
「愚かだな、人間。ただ操るだけでは延々と支持を操る主がしなければならない。だが、その娘の能力では、操れる相手はある程度自発的に行動できるようだからな。ここの魔道具を動かすには、最適というわけさ」
そう魔族の一人は答えたのだった。




