第49話(遭遇)
現れた黒と白のまだら模様の……猫のようなもの。
大きさは確かに成人した猫ほどのものだが……形はそっくりであるものの幾つか違う点がある。
まず、耳が4つある。
正面から見ると耳が二つに見えるが、その耳のぷ城に同じような耳が二つ。
そしてその一方で、口の部分が、頭が二つに割れるのではないかと思うくらいに大きく避けている。
確かに形は猫のようなものだが……そこでレーニアが悲鳴を上げた。
「あ、あれ、この前町で私が追いかけられた“猫”です!」
その声を聴きながら俺は彼女にとりついているセリアに、
「あれが、猫?」
『私が見える記憶映像の範囲では猫でしたね。記憶映像だとその人物の感情によって揺れ幅が大きくなるからその関係で見えにくくなることもあるわ』
「そうか……で、この前の“魔族”が言っていたレーニアを襲わせたなにかは……この怪物で間違いないな」
それにレーニアは頷くのを見つつ俺は、
「だったら生け捕りにして情報を集めよう。何が目的なのか聞き出せた方がいいし……」
などと俺が思いながら相手の出方をうかがっているとそこでその“猫のような何か”が、
「この私を生け捕りにするだと? いい気なものだな」
「しゃべった?」
そこで俺はただの魔物だと思っていたので、そう呟く。
今まで出会った魔物で、言語を扱う物はこの世界で遭遇した事がなかったからだ。
そう思っているとそこで、
「こう見えても俺様は“魔族”のはしくれだからな。だが……そこの娘の持つ医師も必要であったから、自分からこの場所に飛び込んできたのは都合が良かったな」
と、けけけけけと変な笑い声をあげる。
人間と同じ言語を話すことができる時点で当然と言えば当然だが、こうやって声をあげていると、“怖い”というよりも“滑稽”さ? を醸し出している気がする。
道化か何かを見ているようだ、そう俺が思っているとそこにいた“猫のような何か”は、
「お前、今、俺の事をバカにしただろう?」
「い、いえ、そんな事はありません」
「……目的はあの石だったが……どうせなら散々悲鳴をあげさせて逆らう気が起きなくなった後に連れて行くのがいいか。何しろその石に選ばれたかもしれない“人間の女”だからな。生かしたまま連れて行かないといけない」
と、目の前の怪物は言った。
だが、自分の優位性もあって話しているのだろうが、物語のように説明をしてくれるいい人? もいたものだなと思う。
それともこれが冥土の土産というものなのだろうか?
などと俺が考えているとそこで、
「また俺をバカにしているな! 許さない……まずはお前から“喰って”やる!」
そう言って俺の方に飛び込んできて、大きく口を開けた。
目の前で横二メートル、奥行き数ーメートルの大きな口に、その怪物の口が変化する。
しかもその口の無きには鋭い牙が無数に生えている。
さすがにこれは俺も予想しなかった。
会話を聞いている間にやはり“解析”をしておかないとなと俺は反省しながら、目の前の怪物の口の中で大きな炎を呼び出し、爆発させる。
「ぐわぁあああああ」
そんな悲鳴を上げて怪物が後ずさる。
10メートルくらい後方に逃げただろうか?
俺達を睨みつけるように見て、威嚇するように唸り声をあげてからすぐ踵を返して何処かに逃げていく。
それを見て俺は、
「追うぞ!」
「「うん」」
「え?」
最後のはレーニアだったが、ミカとセリアは頷いてくれた。
だが、一緒に走った彼らはそれだけでは納得してもらえなかったらしく、
「それでどういうことか説明してくれるか?」
ラグドのその問いかけに俺は、
「実はそこにいるレーニアが“魔族”が探しているらしい古代魔法文明の遺跡に必要な“何か”である石を手に入れてしまいまして。面倒なので何かをやらかし前に、ここにきているらしい“魔族”をどうにかする予定だったんです。ちなみに今日は……“偵察”だけの予定だったので一緒に来たのですが……もし危険そうでかかわりあいたくないというのであれば、帰った方がいいかと」
そう俺が返すとラグドは走りながら少し黙ってから、ミシャに、
「どうする? 俺は興味がある」
「……そちらのSSSランクさんは命の保証をしてくれる?」
そこでミシャに聞かれたので俺は、
「本当に危険だったらその場で安全な場所に丸っと“転移”して逃げる予定です」
「ならいいわ。“魔王”が現れたといっているのだから、“魔族”の動きも活発になるでしょうし……体験しておいた方がいいわね。行くわ」
そうミシャが答えてそこでセリアが、
『前方に、魔法文明の遺跡のなかで……草木が生い茂る場所がありますね。魔物が多数隠れています』
そう言ったのだった。
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