第44話(パーティの誘い)
こうして準備を終えた俺達は、遺跡に向かうことになった。
古代魔法文明の遺跡。
例にももれず文明だけ残していなくなったその人物たち……果たして、この世界の今いる“人類”は旧来の魔法文明の生き残りなのか、それとも……。
「その辺りは“女神の妹”であるソニアに聞けばわかりそうだ。話のタネにでも今度聞いてみよう」
そう俺は一人呟いて、まだかなと入り口付近で振り返る。
レーニアとミカの支度がまだ整わない。
セリアは“精霊”なので支度などはいらないが、『冒険者の恰好は必要!』との事で、セリアが思う“冒険者”の恰好(俺たちの世界にあるゲームに出てくるような恰好……ミニスカートが眩しい)に変身した。
気軽に服を変えられるのは精霊の中でも上級であるセリアの特権であるらしい。だが、
「魔力はどれくらい使うんだ?」
「……てへ?」
俺の問いかけにセリアは誤魔化した。
ただ、俺たちの世界の服の形に変えるとそれまでとは違った特殊な魔法がかかっていたりするので、参考にはなるらしい。
今回は“絶対防御”だそうだ。
なんだか強そうだな、と思って興味魔法で“解析”をしようとすると、
『え、えっち。リクのえっち。私の服を“丸裸”にしようとするなんて!』
「ち、違う、服の効果を俺は見ようとしただけであってそれ以上の下心は、まったくありません!」
『本当に?』
「本当です」
俺は必死になってセリアにそう弁明をしたが、そこでセリアはため息をついてから、
『結構胸が大きい自信はあったんですけれどね~、悲しいですね~』
「え? いや」
『悲し~わ~』
そう言ってセリアはレーニア達の所に行ってしまった。
やっぱり女ごころは分からないと俺が思っていると、ミカ達が声を上げた。
「ええ! リクが実は……ああ見えてさりげなく女性の服を狙っていたの!?」
『そうなんですよ~』
「……私の服……」
『ちなみに変化させた服の効果が見たかっただけみたいですよ~』
「……」
『ふふふふ、ミカさんは、とんだ“ど”スケベ女ですね』
「“ど”スケベ……私が“ど”スケベ……」
ミカが何やら悩んでいるようで、レーニアがそんな事はありませんよとフォローしてくれているが、俺としては気が気ではない。
かといって彼女たちの着替えシーンに突入し止めることはできない。
しかも先ほどから、ミカは胸が結構大きいだのレーニアの方が大きいとか、一番大きいのは私とセリアが言っていたりとか……。
「二次元でしか知らない展開を俺は今体験している……というか、本当に妄想が……ぐっ」
そうやって俺は苦悶の声をあげているとそこで、ようやく三人が出てくる。
大変な目にあった、さあ行くかと思って部屋の外に出ると、
「やあ、奇遇だね」
「……こんにちは、ラグドさん……とミシャさんでしょうか?」
そう俺が声をかけると、二人は頷いてから俺たちの方を見て、ラグドが、
「もしかしてこれから冒険にでも行くのか?」
「えっと、そんな感じです」
「ふむ……行先は?」
「……“蒼天を撃つ鏡の迷宮”」
「俺達と同じか。ふむ……今日は、ミシャと二人で行くことになっていたし……どうかな、君たちが良ければ、俺達と一緒にパーティを組んで、遺跡に潜らないか?」
そう、ラグドが誘ってきたのだった。
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