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第39話(女神の妹)

 そろそろスローライフを本当にできるのだろうか? といった漠然とした不安が俺の中に芽生えてくる。

 だが、邪魔者は一通り消したので、大丈夫だとは思う。

 そう自分に言い聞かせているとそこで俺は、今までの会話で何か違和感を感じる。


 それが何だろうと思っていた所で、今度は別の事に気づいた、

 セリアが天ぷらをあまり楽しんでいないようだから。

 どうしたのだろうと俺が様子を見てセリアに、


「セリア、口に合わなかったか?」

『! いえいえ、そういうわけではないのですが』


 そう言ってちらちらとソニアの方を見ている。

 どうしたのだろうか? と俺が思ってみているとソニアが、


「言ってしまってもいいわよ? 私の正体」

『え? いえ、ですが……』

「この人達なら問題ないでしょう。そもそも“お姉ちゃん”がいない今は、私もその件に関して対処しないといけないし。それなら事情を話して協力してもらった方がいいし」


 などと言い出したソニアに対して俺は、


「言わなくていい。俺はこれからゆっくりスローライフを楽しむんだ。その他身に今日だって、“魔族”と遭遇したが、返り討ちにして、ミカ達の情報を持ち帰れないようにしたからな」

「そうなの? 私としては部下がいなくなったら探しに来そうな気がするけれど、まあいいわ。それでね~」

「だからどうして俺を巻き込もうとするんだ?」

「頼れるのはリクしかいないから、という答えじゃ駄目かしら?」


 そこで顔を俺に近づけてきて、下から見上げるようにしてソニアがお願いをしてくる。

 何故だか分からないが、こうされると俺は断りきるのが難しくなる。

 だがどうすれば、と俺が思っているとそこで、


「それでね~、実は私、“女神の妹”なのよね」


 ソニアが俺の目の前でそんなことをのたまった。

 俺はすぐに自分の手で耳をふさいだ。


「聞こえない、聞こえていないぞ」

「でも聞いちゃったよね。というわけで、魔王関連でお手伝いしてほしいなって」

「絶対に嫌だ」

「なんでよ。少しくらいいいじゃない」

「魔王討伐パーティに昨日までいて、追放されたんだ。だからもう関わりたくない」

「……リクを追放したの? どこのバカなの?」

「えらいお貴族様だそうだ。というわけだから嫌だ」

「……“魔族の策略”?」

「昨日会った“魔族”がそんなようなことを言っていたが、それを差し引いても酷過ぎるから関わりあいたくない」

 

 そう俺が返すとソニアが、


「“女神の妹”がお願いしても駄目なの?」

「駄目だ。それにソニアが本当に“女神の妹”なのか? 俺でも倒せるぞ?」


 その言葉に精霊のセリアがぎょっとしたような顔をしたが、ソニアは面白そうに笑って、


「そうよ。もしお姉ちゃんがこの世界にいたら、怖くて絶対に呼び出さなかっただろう異世界人だよね、リクは」

「……俺、そんな凶悪な存在のつもりはないが」

「包丁が料理に必要だけれど、凶器には変わりはない。たとえ料理だけに使うとしても……“怖い”でしょう?」

「それを言い出したら、何もできなくなると思うが。うまく使えばいいだろう?」

「それって一番むつかしいと思うの。リクみたいな人間だと特にね」


 そう言われて何かを言い返そうと俺は思ったが……やめた。

 なにしろ人間関係の大変さは追放された俺がとてもよく知っている。

 代わりに俺はソニアに、


「それで、どうしてミカの力が“魔族”は必要なんだ?」

「それは分からないわ。どう使おうとしているのかも、よく分からないしね」「……“女神の妹”なのに分からないのか?」

「私より強いリクが分からないことを私が分かるわけないじゃない。それに、お姉ちゃんに世界関係の事は丸投げして遊び暮らしていたわけだし、知らないことも多いのよ」


 そう言ってまた天ぷらを一つ食べていくのを俺は見ながら、


「じゃあ、そっちのレーニアが“魔族”に実は以前にこの町で襲われかかっていたようなのも知らないのか?」

「え? そうなの? どうして」

「そう言えばどうしてなんだ?」


 俺はそこでレーニアにその話を聞いていなかったのを思い出して聞くとレーニアが、


「私もよく分かりません。ただ、あの奇妙な猫に襲われた時持っていたのは……これです」


 そう言って、ポケットからレーニアは青い石を取り出したのだった。

 

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