第36話(家に帰還)
こうして俺達は、この場所にとどまる気分ではなくなるような目にあったのでそのまま町に戻ることに。
実はまだ“魔族”が隠れてこちらの状況をつぶさに観測しているのでは、といった不安があったが、その点は大丈夫であるようだった。
そんなこんなで魔物とも遭遇することなく、俺達は町に帰ってきた。
それからギルドに依頼の品を渡して、確認してもらい料金をもらう。
カードにそれぞれ以来の状況が記録されただろうことをギルド内の装置で確認して、外に出る。
そして、レーニアの持っている持ち物は、道具を預けて置ける場所に保管しておいてもらったりしているらしいと聞く。
そこには着替えなども置いてあるらしい。
生活に必要なものはそこから全部引き上げてくるそうだ。
それを聞いて俺は、長期滞在するなら宿を借りるよりも建物を借りる方がいいのでは、という問いかけにをするもレーニアは、
「実は家出同然で、財宝探求者をやっていたので、住居を借りると気づかれてしまうかもなのです」
「家出って……親は心配しているんじゃ」
「この前二つほど隣の町まで言って手紙を出してきたので大丈夫です」
といった自信をもって告げる様子を見ながら、もし両親が訪ねてきたら事情を話して速攻で突き出そうと俺は決めた。
何しろお金を落として空腹で倒れるような人物である。
俺が異世界人なこともあり、いつ面倒を見れなくなるか分からないこの状況なので、何かある前に突き出しておこうと俺は思う。
などと俺は考えながら、冷蔵庫を選ぶ前に果物が悪くなってしまうかもということで大きめの木箱を購入しておく。
ここに冷気の魔法をかけて入れておけば当分は即席冷蔵庫になる。
他にも必要なものを購入して家に戻る。
そうして今日、手に入れた食材や果実等を入れたりして、他にはレーニア用の部屋に案内して、ベッドのシーツなどがないのに気付いて慌てて購入しに行ったりと忙しい時間が過ぎていく。
それから夕食の準備をする前に隣の部屋に向かった俺達だが……。
「ん? 君はあのSSSランクの?」
「……」
隣の部屋が、やけに俺と手合わせをしたがっていたラグドが現れる。
とりあえず引っ越してきたのでといった挨拶をして、焼き菓子詰め合わせを渡してから速攻で俺はその場から逃げ出した。
あのまま行くと、このまま手合わせをしないか? といったお誘いがきそうだからだ。
なんで俺のスローライフが全力で戦闘の方に振り切れそうになっているのか?
今日だって“魔族”と戦闘になりそうだったしと俺は思いつつ深々とため息をついてから、部屋に戻り隣人がラグドであることをミカ達に伝えた。
「このまま俺は、隣人に“決闘”を申し込まれたりすることになるのだろうか? いや、受けなければいいだけ、そうだ……」
「あ、それなら、リクと戦いたかったら私達を倒してからにしろ、みたいな話にしておく?」
といった提案をミカにされる。
セリアも楽しそう~、などと言っているが、
「ラグドはAランクだぞ?」
「え? 私もこう見えてもAランクよ?」
「……そもそも俺の問題だから、ミカ達に迷惑はかけられない。そもそもミカは俺の侍従だから、そちらの方は仕事に入っていないぞ」
「うぐ……で、でもギルドに言ったり今日だって手伝いをしたりしたわけで……」
「一緒に戦闘をしたりするのは、俺たちの世界の侍従では……特定の範囲でよくあることだ」
「そうなの? それは知らなかったわ。まだまだ侍従について私は勉強不足のようね」
「そうだな。というわけで隣人の件は俺がなんとかする。さて、そろそろ夕食の準備でもするか」
「あ、それなら私が……」
そう言いだしたミカに俺は、今日取れた食べ物などを一通り見てから、
「せっかくだから俺の故郷の料理を披露するよ。丁度いい素材も手に入ったし」
「でも……」
「まあ、そのうちでいいじゃないか。俺も久しぶりに故郷の料理が食べたいんだ」
「そうなんだ。それで、なんていう料理を作るの?」
「ああ、“天ぷら”だ」
そう俺は返したのだった。
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