第3話(特殊能力(チート)について)
俺の特殊能力の名前は“情報操作”。
空間内の情報を読み込んで“書き換え”を、時間的、空間的に行う能力だ。
この能力が発現した時はまだ、俺も先ほどのこの美少女のように物体を具現化させるような能力だと思っていた。
だが他にも色々と調べていくうちに、これらの世界に存在する“魔力”内に含まれる“情報”を書き換えているらしいことが分かった。
どの世界でもそうだが、魔法のある異世界は、魔法によってその存在が作られている。
その魔法は“魔力”によって行われている。
この“魔力”というエネルギーに、いわゆる“情報”が付加されて大地であったり、風であったり、水であったり、この世界を構成する様々なものに変化する。
そしてその“情報”部分の書き換えが俺の能力であるらしいのだ。
本来そのあたりの部分はこの世界“そのもの”の“情報”であるが、それらにアクセスして“情報”を読み取り“書き換え”を行って“変質”させるらしい。
それに気づいたときは、これこそが特殊能力と思ったものだ。
案外、他の人達の特殊能力ももっと違う“概念”によって形成されたものなのかもしれない。
といったような俺の能力により……他にも色々と細かい部分はあるのだが、説明が面倒なのでだいたい今のような、物を生み出すような特殊能力といったもので誤魔化して話を終わらせてしまう。
説明しても分かってもらえないことも多く、また、説明芝居でいると疑心暗鬼になるためにそれっぽい説明を俺はしている。
さて、と俺は思って魔物を倒した後の方に歩いていく。
案の定、魔物の魔力が固形化した“魔石”が手に入る。
魔物の性質に対して異なった効果の“魔石”がこの世界でも手に入るらしい。
これらは魔物の質にによって性質がかなり異なる。
ものによってはほとんど使い物にならないような、クズ魔石と呼ばれるような物にもなってしまったりする。
とはいえそれらも加工なり抽出なり何らかの処置を施せば、結構品質のいいものに変えられて高値で売れたりするが。
その技術も結構高度な物であったりするんだよなと思い出しつつ、これまで来ずかい稼ぎでそういったクズ魔石を高品質なものに変えて売りさばいていた俺は思い出した。
とはいえ今回のこの薄く緑がかったこの魔石にはそういった処置を施さずに売り払ってしまえそうだ。
さらに品質をよくすることもできるが、あまりにも品が良すぎるとそれはそれで警戒されたり、見知らぬ持ち主が現れたりといった面倒ごとに巻き込まれるのでほどほどにしている。
この魔石くらいならば、そこそこ大きな町であれば一年に一度くらいは見かけることもあるだろう、そう俺は考えていた。と、そこで、
「あ、あの、助けてくれてありがとう。それで……」
「今回助けるのはこれっきりにさせてくれ。俺も大変なことはもう嫌なんだ」
「……話だけでも聞いてくれないかしら。だって貴方……」
「俺はただの一般人だ。……はあ、話を聞くだけだからな」
俺はそう、前置きをしてから必死な様子の美少女にそう答えたのだった。
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