第25話(仲間が一人増えました)
おにぎりを食べて元気が出たのだろう。
レーニアが笑顔で俺達、
「いや~、助かりました。またお腹が空いて動けなくなってしまって……」
「しかもまた俺たちの前に倒れていたからな。狙って倒れているのかと思ったよ」
「きっとこれは運命なのです。何かお仕事もいただけないでしょうか?」
そう言って俺の方を見るレーニア。
ただこの様子を見ていると、
「猫に追いかけられて、お金を落とすような人に、そのままお金を渡してもまた落としそうな気が」
「! どうしてそれを! は!」
そこで何かに気づいたらしいレーニアが上を見た。
そこにはレーニアに取りついたように足の方を埋めたセリアの姿が1
……というか、“精霊”が珍しいらしく、行く人がこちらの方をチラチラ見ている。
これは何となく見世物になっている気がして嫌だなと俺が思っているとレーニアが、
「ま、また私は“精霊”に取りつかれている!」
『また? 相性よさそうだものね。でも今回は、あんな場所で倒れているから体を操ってここまで連れてきてあげたのよ? 私に感謝すべき』
「う、うう、ありがとうございます。で、でもまた私の記憶をまた覗いたりしたんですよね!? は! だから、私がどうしてお腹を空かせて倒れているのかを知っている……」
『そうよ~、まさかあんな光景が見えるなんて』
そう言ってセリアが楽しそうに笑っている。
レーニアが恥ずかしそうに顔を顔を隠しながら、
「こ、これだから“精霊”は! いつもいつもいつもいつも、ことあるごとに私に“とり憑いて”、私の個人情報である“恥ずかしい”出来事を目撃して口走って……この前は、パンツが……」
『う~ん、でも相性がいいしね……とりついていると移動しなくていいわね。ふむ……住処にはちょうどいいかしら』
「ま、待ってください。なんで私が“精霊”にとりつかれて、それも一過性じゃないことになっているんですか!?」
『ああ、それは私がリクの契約精霊で……そういえばあの家が一つ余っていたとか、食事がとれないならいっしおょにいた方がいいとか、魔力が強そうだし仲間にもできそうだし、ハーレム要員が一人増えて面白そうとかそういった考えからよ』
最後の方に変なものが追加された気がしたが、確かにこの展開だとこのレーニアは大丈夫だろうかという気はしなくもない。
しかもこの町にはそこそこ詳しそうだ。
ゆったりとしたスローライフは一人で悠々自適の生活を、とも思うが……ここでレーニアを放っておくと寝覚めの悪いものになりそうな気がする。
すでに昨日の今日でこれだ。だから、
「……じゃあ、俺達とパーティを組まないか? 衣食住のうち、食住は保証できるが」
「! いいのですか!?」
「ああ、でもここ二日間こんな事になっているが、これまではどう生活をしてきたんだ?」
「た、たまたま不運が重なっただけです! でもなんであの猫に私は追いかけられたんだろう? 確かに妙な猫でしたが……」
などとレーニアがブツブツ言っているとそこでセリアが、
『では、しばらくとりつかさせていただきますね』
「! そ、それは……」
『え~、嫌なんですか~、こうやってとりついて移動させてあげた仲じゃないですか~』
「だ、だいたい私は契約者じゃないですよ!? とりつくなら、契約者の人の方がいいんじゃないですか?」
『それがね~、リク、異世界人でしかもSSSランクじゃない? おかげでそういったものが“とりつく”事が出来ない程度に……しかもこの私が取り付けない程度に、“耐性”が強いのよ。だからどうしようかな~とふよふよ飛んでついていたというわけ。ミカにとりついてもいいんだけれど、こっちの方が居心地が良くて。それにミカは幽霊が怖いみたいだし?』
「SSSランク!? そんなもの本当に実在していたのですか!? い、いえ、今はそれではなく、で、でもとりつかれるのは嫌です。だって、全部……私のやっていることがずっと見られているわけですよね!?」
涙ながらに言うレーニアだがそれを聞いて俺は、
「じゃあ、自宅にいるときはセリア用の住居を作って、パーティに出るときはレーニアにとりついてもらう、というわけではどうだ?」
「……それならぎりぎり、我慢できそうです」
「ではそれで」
「うう……でも“精霊”にとりつかれると見られている気がして、落ち着かない……」
などとレーニアが愚痴をこぼす。
それにセリアが、
『あら、見ないようにすれば見えないわよ?』
「そ、そうなのですか?」
『ええ。ただその状態でも何となくこういうことをやっているような? というのはわかったりするけれど』
「……それは見ていないといえるのですか?」
『私は風の精霊だからそういった“情報”が手に入りやすい、というのもあるけれど……普通に大体わかるわよ? 母親が、息子がどこにエロ本を隠していたり持っていそうだとか、知らないと思っているの?』
「……微妙に生々しい具体的なたとえをありがとうございます。はあ……」
肩を落としたレーニア。
だがとりあえず話はまとまったようなので、俺はこれから受ける依頼のパーティに、レーニアを追加するようギルドで登録の修正をしに向かったのだった。
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