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第23話(ギルドへ依頼を受けに行く)

 ちょっとしたギルドの依頼とはいえ、森の中などに入るとしばらく出られなくなるかもしれない。

 周りの状況が分からないため、とりあえず俺はお昼のお弁当を作って移動することにした。

 今日は、久しぶりに“おにぎり”を食べたくなったのでそれを作ることに。


 ミカが今日は私が、と言い出したが、


「故郷の食事が食べたいんだ。ここしばらく、こっそり外食はしていたとはいえ、あまりいいものを食べていなかったし、それにやっぱりソウルフードが恋しい」

「そうなの? それなら仕方がないわね」

「ああ。この世界でも、俺たちの世界のものと似た食材があるからそれを使う」


 そうミカに俺が返すとそこでセリアが、


「“おにぎり”ですか。懐かしいですね。よく仲間内で食べた記憶があります。塩おにぎりってありますか?」

「なんだか異世界でそういった話を聞くと、変な気がするな……。今回は、塩おにぎりと、具材が、梅、昆布の煮付け、鰹節のようなものに醤油のようなものを混ぜたものの四種類を作成予定だ。後はお茶をいくつか持っていく」

「なんだか楽しそうですね~」

「そうだ、そしてよさそうな場所で周りの景色を見ながら、昼食をとろう。ゆったりとしたスローライフには、緩い依頼が一番だ」


 そう俺は言いきったが、ミカはもう何も言うまいというかのように首を振ったのだった。








 そして俺たちはギルドにやってきた。

 昨日とは別の場所のギルドである。

 ちょっとした騒ぎを起こし、SSSランクだと俺はばれてしまっている。

 

 その両方は目立つだろう。

 だから静かに目立たず平穏なスローライフが送りたい俺は、今日の依頼は別のギルドで受けることに。

 だが、そのギルドに入った瞬間、周りからざわめきを感じた。


 それと同時に始まるひそひそとした声。

 こちらに向けられる好機の視線。

 これは……SSSランクだと気づかれているような気がする。


 どうしてだ、そう俺が思っているとそこで、


「おや、そこにいるのはSSSランクの……」


 そう言って、以前のギルドで俺に手合わせを、と言ってきたラグドという男が現れた。

 ついていない、また俺は手合わせをと言われてしまうのだろうか、などと思っていると、


「ラグド、何をしているの? もうみんな外で待っているわよ?」

「ミシャか。ほら、ここにいる人物が昨日ギルドで見かけたSSSランクだ」

「え? 昨日、ラグドが喧嘩を売ったっていう?」

「人聞きが悪いな。強いものを見たら手合わせをお願いしたくなるのは男として当然だろう?」

「私にはよく分からないけれど……ご迷惑をおかけして、ごめんなさいね。あとで私からもラグドに言っておくから」

「ミシャ、その言い方はちょっと……」


 そう言って言い返している間に、ミシャという人物がラグドを連れていく。

 おかげで俺は手合わせをせずに済んだが、


「なんだろう、変な敗北感がある……」

「ねえ、それよりそろそろ外で待っていてもらっているセリアを待たすのもどうかと思うわ」

「ああ、そうだな。……今度から“精霊”に滞在してもらう場所を作る、持ち運びできる魔道具を持った方がいいかもな。昨日の今日で、用意はできなかったからな」


 といった話をしながら、“どらどら草”というものを探してくる依頼と、果実やキノコを探す依頼を選ぶ。

 受付にパーティの登録をして、ランクを示すと、この人本気かな? という顔で俺は見られた。

 確かに簡単な依頼ではあるが、俺がやりたいものはこれなんだ! という情熱の元にその視線を払いのけ、依頼を受けてギルドを後にした……のだが。


 再び俺たちの前に、以前俺たちの前に倒れた財宝探し(トレジャーハンター)のレーニアが倒れ込んだのだった。


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