第18話(“精霊”の服装)
元気よく現れた“幽霊”……もとい“精霊”。
暗闇の中うっすらと青い燐光を放ち少女の形を形作っている。
鮮やかなピンク色の顔に青い瞳の少女。
来ている服は白いワンピースでそこかしこにフリルがあしらわれている、体にぴったりと吸い付くようなデザインだ。
つまり、よくイラストで見かける宙に浮かぶおっぱい……通称“乳袋”が形よく存在している。
そういえばこの世界の“精霊”は、人型をとっているものが多く、その服の類も人間のものによく似ているというか……。
「服のデザイン自体が俺たちの世界のものによく似ているんだよな。正確にはゲームとかアニメのの服装に近い気がする」
『おや、もしや異世界人の方ですか~?』
「はい、異世界人です」
『そうなのですか~、“チキュウ”の“二ホン”からいらっしゃったのですか?』
「……はい、そうですが」
そう俺が返すも、俺は嫌な予感を覚えた。
何か予想もしない答えが返ってくるのではと俺が思っているとそこで、
『本場の“コミケ”ってどういう所なんですか~』
「……なぜこの世界の住人である貴方が“コミケ”をご存じなのでしょうか」
『え? 前にこの世界に来た異世界人が、私たちの所に来て“同人誌”目含めた楽しイベントなどを話してくれまして。最近では精霊と人間が一緒になってそういったイベントを自主的に開催しているんですよ』
といった話から、彼女の服が俺たちの世界の漫画やアニメ、ゲームが元になっているかもしれないといった懸念が発生した。
だが俺はすぐにそれは考えないようにしよう、と自分に言い聞かせてから、気になったことを一つ聞いておくことにした。
「……ちなみにどの地域でしょうか」
『“ホナミ国”のあたりですね。四季もありますしお米もとれますし、その“コミケ”を教えてくれた異世界人の故郷と環境が似ているのだとか』
「あ~、あそこか。“魔王”関連の場所からは一番遠い場所だったか。地図から見ると、だが」
俺はこの世界にきて覚えたこの世界の地図の大まかな国の配置を思い出して、そう呟くとそこで彼女は、
『“魔王”? そういえば私をここに捕らえて放置した……というか私の力が強すぎてこの状態にしかできなかった魔法使いたちが、これで“魔王”様もお喜びになる、とか何とか言っていたような』
「……俺はなにも聞かなかった。面倒なことには関わりたくないからな。だが、その封印やら何やらを解いて自由になればここに滞在する意味はないな?」
『そういえばそうですね~』
「じゃあ今すぐ説くから。“情報操作”」
俺は特殊能力を使い、彼女を拘束している魔法を“解析”して、組み替えていく。
“楽”な方法でできる限り俺は特殊能力を使うよう心掛けている。
いざという時に使えなくなるのも困るからだ。
それもあって膨大な自身の魔力を、“現地の魔法”でどうにかなるならば、そちらに回して使って戦闘をしていたりする。
こう見えて異世界で俺、“努力”していたんだよな、と悲しくなった。
と、そこで封印が解けた所で“精霊”が、
『いや~、助かりました。でもどうしましょうか? こうして助けてもらったのでしばらくついていって恩返しをした方がいいかな?』
そう言いだしたのだった。
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