第15話(部屋を借りる)
この今朝から空腹で倒れていた彼女の名前を俺は聞いていない。
なので本日しばらくの付き合いになる彼女の名前を知らないのは、都合が悪いのではと思って俺は、
「それで自己紹介がまだだったな。俺はリク、そして彼女がミカだ」
「リクさんとミカさんですか。私はレーニアと言います。今日はよろしくお願いします」
「よろしく」
そう俺は自己紹介を簡単にしてあいさつをする。
そこでふとレーニアが首をかしげて俺達を見て、
「それでその、物件を探すうえで気になることが一つあるのですがよろしいですか?」
「なんだ?」
「お二人はその、恋人同士ですか?」
そこでレーニアが聞くのをためらうかのようにそう聞いてくる。
俺はそこで気づいた。
「確かに恋人同士でないないなら二つの部屋を借りた方がいいのか?」
俺が考えながら呟くとミカが、
「一応は私、侍従になったんだから、お互い同じ家に住むべきよ!」
「それって……“女の子”としてどうなんだ?」
「ん? リクは私を押し倒す気なの?」
「……そういうわけでは」
「なら構わないわね」
そう返されてしまった俺は、この状況は同なんだと思った。
確かに俺はそういったことをその……“女の子”との同意無しにするつもりはない。
それでも俺だって“男”なのだが……。
それとも、ミカは俺が襲い掛かろうとした瞬間に組み伏せられる自信があるのだろうか?
一応は俺もSSSランク冒険者だからそういったあしらいも、軽くどうにかできてしまう。
などと俺が悩んでいるとミカが、
「どうしたの?」
「いや……俺と一緒に住むのはやっぱりどうなのかと考えているだけだ」
「……そういう風だから、信用できると私も思うのよ」
「……うう……鍵のかかる部屋がある物件でお願いします」
信頼してもらえるのは嬉しいが、“草食系男子”といったような何となく痛い気持ちになりつつ、早速案内してもらうことになったのだった。
この町の日常生活で必要なものが購入できる商店街や、安く物が購入できる場所、おすすめの料理のお店等を聞いたり危険な場所を避けるために聞いたりといったことをする。
なかなか有意義な案内だった気がする。
そして幾つかの物件を見ることに。
戸建てというよりも集合住宅の一室をまずは借りようかといった話になる。
まだこの町の様子もよく分からないため、ここに滞在して様子を見てからにするといった話になる。
ちょうどよさそうな建物も見つけた。
外側からだが、洗濯物等が干されていないので空き室だろうと推測したのだ。
他にもいくつか候補を決めたが、後は実際に建物の斡旋所に行って、中を見せてもらって借りようといった話になる。
そのお店もレーニアに案内してもらい、その部屋の月々の家賃などを聞いてそこに住むことにする。
本当は今日は宿で一泊する予定だったが、すでにベッドなどが備え付けられていて、値段もなかなかお手頃……というよりは安い物件だったのでここにする。
後でよくよく考えるとこれは、いわくつきの物件だったのではないかと俺は思う。
だって本当に安かったのだから。
だがこの時は気づかずに俺たちはレーニアに料金を支払いつつ、部屋を借りる家主に必要な料金と家賃を支払い、その部屋を借りたのだった。
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