第14話(謎の少女が目の前に倒れた)
店から出た直後、俺たちはある人物と遭遇した。
正確には、目の前に倒れた、と言っていい。
どちらかというと小柄な少女で、茶色の髪に、うっすらと開いている目は緑色で、そんな彼女は俺の前に倒れている。
目の前に倒れた女の子がいた場合俺はどうするべきか。
そして周りの人達はちらちらこちらを見るだけでその場を去っていく。
どうやら俺が対処しないといけないようだ。
というわけでまずは意識の確認から。
「……もしもし、聞こえていますか?」
「……お腹空いた」
声をかけるとそのような答えが返ってきた。
どうやら空腹で倒れたらしい。
この世界の事情にはそこまで詳しくないが、こういったようにそこそこ身なりがよさそうな少女が目の前で空腹でよく倒れるようなことは今のところ見たことがない。
何か別の理由があるのだろうかと思ったが、とりあえず、
「ミカ、そこのお店で……ワッフルのような物を購入してきてくれないか?」
「わかったわ、それとあれは“ワッフル”でいいわ」
そうミカが言って買異に行ってくれる。
それを見送って俺の方はというと、とりあえず彼女を起こそうとするも、
「お腹が空いて力が出ない~」
「ここにいると往来の邪魔になるし、馬車にひかれてさらに背が低くなるぞ」
「せ、背が低くなるのは嫌です! ……うう、力が入らない」
「俺が手を引っ張って肩を貸すから、まずは道の脇に移動しよう」
そう俺は声をかけて手を引っ張る。
背の小ささもあってか思いのほか軽い彼女の体を引っ張り上げて肩を貸し、道の端の方に座らせる。
そこで丁度ミカがワッフルを買って戻ってきた。
「おい、とりあえずワッフルを買ってきたぞ」
「! ワッフル!」
そこで目をかっと見開いた少女が、ミカの持ってきたワッフルにかじりついた。
嬉しそうに食べているその様子は小動物のように可愛いが、一体、どれくらいの間、食べていなかったのだろうと俺が思ってみているとそこで少女が、
「いや~、財布を落としてしまって今朝から何も食べていないんですよ」
「……空腹で倒れるから何日も食べていないのかと」
あきれてしまって、つい俺はそう言ってしまう。
すると少女は、
「動き回るのですぐにお腹が減っちゃうんですよ、私。でも助かりました~、あ、でも財布を落としちゃったんでした。……これから日雇いの仕事を探していて見つかるかな……あ!」
そこで何かを思いついたらしく俺たちの方を見て、
「何か日雇いのお仕事貰えませんか? この町の事や周辺の事は、知っていますよ?」
「……ちなみにここの土地に住んでいる人ですか?」
「いえ? 半年前にここに来たのですよ。“財宝冒険者”として」
「半年……“財宝冒険者”としてだと、確かに周辺の状況はよく知っていそうだな」
「はい!」
「……じゃあワッフル代も含めて、……ぐらいでいかがか」
「もう少し色を付けていただければと! できれば暖かい布団で今日は一日過ごしたいです!」
「……では、これくらいで」
そう言って料金を提示し、名も知らぬ少女年ごとの話をする前に料金を決めた。そして俺は、
「じゃあ、この町で住むのによさそうな物件を案内してもらえないか?」
「え? 採取の場所とかそういうのではなく?」
「俺、この町でスローライフをするんだ」
「……」
そこでこの少女が俺の方を何とも言えない顔で見た。
だがそんな顔をされようと俺は自分の信念を曲げるつもりは全くない。
そう思っているとそこで少女が、
「わかりました。おすすめ物件を先に見に行くのもいいですよね。それから斡旋所に行っても……うん。わかりました。ではそんなに高くなくて、おすすめの場所に案内しますね。ちなみに予算の範囲を教えていただけますか?」
そう彼女に言われて、予算の範囲を言いつつ俺は……そういえばこの少女の名前を聞いていなかったと思いだしたのだった。
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