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第12話(俺が真っ先に“制裁”を加えて)

 彼女と一緒にギルドにデートでもしに来ているのか?

 え、どこにそんなリア充がいるんだ?

 いたら俺が真っ先に“制裁”を加えて……と瞬時に駆け巡りながらもすぐに俺は気づいた。


 そういえば俺は今、ミカと一緒だった。

 そして俺の背後から声がしたのを考えると、今の言葉は俺に向かって投げかけられた言葉なのだろう。

 このまま無視して、いや、自分の持てる限りの力を持って全力で逃げだして、“格好悪い”姿を彼女に見せて逃げた男がいた、といった話にして戦闘を躱す方法がある。


 よし、それでいこう。

 俺はそういった戦闘のわずらわしさは必要最低限にしてのんびりしながら俺はスローライフをしてもいい、そう、許されるはずなのだ!

 俺はそう心の中で決めて、ミカをここに置き去りにして逃げ出すことにした。

 

 このギルドから少しいった所で待っていればミカと一緒になれるだろうから、問題ない。

 さて、逃げよう……そう俺が判断した所で今度は別の声が聞こえた。


「自分に実力がない奴ほど遊び気分でぎるどにくるんですよね~」

「ふん、やはりそんな軟弱ものか。見るからにひ弱そうだからな。この俺様が相手をして“現実”を見せてやろうか?」


 といった笑い声が聞こえる。

 なぜか気づいたらその声の人物と手合わせをすることになっているような気がするが、やはりスローライフをするためには目立つ行為は避けないといけない。

 やはりここで全力疾走して逃げださねば……と思った所でさらにこんな会話が俺の耳に聞こえた。


「サザル様相手では、逃げ出してしまいますよ」

「何、逃げ出したなら自分の実力が理解できるまで、倒してやればいい。追いかけてな!」


 そう言っている。

 どうやら追いかけてくるつもりのようだ、どうしようと俺が思っているとそこでミカが、


「えっと、何かお気に障ったなら申し訳ありません。今回は見逃していただければと思います」


 などと言い出したのである。

 ツンデレで行動力ありそうなミカ姫だが、ここではどこかのラノベのように相手を挑発し、俺が戦う展開になる……というのは避けてくれたらしい。

 助かった、さすがは侍従メイド


 そう俺が思っていると俺に見えない位置で、指で、私って気が利くでしょうというように親指を立てて手を握っている。

 よくやった、いい仕事だ、と俺が思っているとそこで……。


「……冗談だったが、ただのパーティではなく本当の恋人だと? このかばい方は、そうとしか思えない」

「そうですねサザル様。……このリア充目にはやはり手合わせをするべきでしょう。逃げても追いかけて倒すべきです」

「そうだな!」


 そこで俺の予想に反して戦闘が始まってしまった。

 く、これだから二次元じゃない三次元の人間は厄介だと思いながら背後から襲い来る男の拳を避ける。

 魔力と風の気配から俺に、そこそこ太い腕が突き出されていると予測して避ける。


 人間相手は、こういった環境だとまだ命の取り合いにならなくて安全でいいと思いながら、その、俺に声をかけてきたうちの一人を軽く俺は殴って倒した。すると、


「サザル様! こ、このおおお」


 といったように、今度は一緒にいた仲間らしい人物の一人が俺を襲ってくる。

 それも俺は適当に倒した。

 あまりにも呆気ない戦闘の終了。


 ここで俺はギルドにいる周りの冒険者が静かにこっちを見ているのに気づいた。

 しまった、目だってしまった、そう俺が焦っているとそこで、


「おう、兄ちゃん。なかなか強いな。俺と手合わせをしてくれないか? まあ、逃がす気もないし、逃げたら日にちをまたいでも追いかけるが」


 そこで、今度は鎧などを着た屈強というべき冒険者が現れる。

 なかなかのイケメンで黒髪に緑の瞳の男だ。

 人間の部類では強い方だ、そう俺が思っているとそこで周りから声が聞こえた。


「おい、あれ、Aランクのラグド様だぞ」

「本当だ。しかも……あれ、見てみろよ。制限リミッターを解除しているぞ」

「本当だ。まさか、ラグイド様が本気の手合わせを……あの兄ちゃんも災難だな。本気を出さないと死ぬぞ」


 といった声が聞こえる。

 どうやらAランクが自身に制限リミッターをつけずに俺に手合わせを挑む気であるらしい。

 そうなってくると周囲に影響が出ないように瞬時に倒さないといけない。


 でないと長期戦になればなるほど周りには被害が出るだろう。

 しかもこの人物は俺を逃がす気はないらしい。となれば、


「本気でいくか」


 そう俺がつぶやき、周りからはざわめきが生まれ、そして、


「やめてください、SSSランクに本気を出されたら……ギルドがつぶれます!」


 そんな受付嬢の声と共に、SSSランクだって? といった声がそこかしこで聞こえる。

 まずい、これはまずい、目立ってしまう。

 どうする、どうするんだ、そう俺が思いつつ焦った頭から出てきた言葉というと、


「今日はこれくらいにしてやる」


 といったような、悪役のようなセリフだったのだった。

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