第10話(ギルドに向かう)
入り口の所で俺は、ギルド証明書(通称:ギルドカード)というカードのようなものを見せる事に。
ギルド証明書というのは、冒険者ギルドという冒険者の登録と斡旋を行っている機構である。
なんでも……いや、その成り立ちなどは説明すると長くなりそうなので割愛するが、異世界によくある、はるか昔に栄えた古代魔法文明の遺産が使われているらしい。
それを聞いた時俺は、昔のSFで見かけた、ファンタジーかと思ったら未来の地球だったよ設定がそのうち降ってくるかと怯えたが、そんな事はなかった。
といった俺の昔の思い出はいいとして、そこでは冒険者の能力を数値化することができるらしい。
また、特殊能力が有るか、無いか、といった判定もそこで行われて、カードに登録されているらしい。
この世界の身分証のようなものも兼ねているので、犯罪歴等も登録されてしまうそうだ。
といった内容を思い出しながら俺はカードを差し出した。
そして町に入る所にいた門番の男性が、何かの木で作られた箱に金属の板がはめ込まれたものの上に、ギルドカードを載せて……。
「え! SSSランク!? え、え?」
そう言って驚いて箱を見ているが、俺としては、
「あの~、確認していただけたのでしょうか」
「あ、はい。……一つ依頼中の仕事がありますが」
「それは町に入ってギルドで違約金を支払って、やめる仕事ですので放っておいてください」
「……魔王討伐と書かれているのですが」
「最近流行の魔王討伐です。俺が抜けても何の問題もないでしょう」
「は、はあ……」
俺は、思い出したくないものが頭の中に浮かび上がらないように必死で抑えながら、そう答えた。
事前に違約金がいくらくらいとられるのかも計算済みなのだ。
だから早くギルドに行って、依頼を解除しに行きたい。
そう思っていると、そこで確認しましたと言って俺にギルドのカードを渡してくる。
どうやらこれで俺の方は終わりらしい。
次にミカだが、ギルドカードを持っていたらしく、それを門番の方に見せると、
「! こ、これは!」
「内密にお願い」
「は、はい」
との事だった。
お姫様だといった内容が記載されていたのだろう。
門番の人は焦っているようだった。
だが確認はこれで終わって、そして丁度並んでいる人もいなくなっていたので、その門番の人に町についていくつかの事を聞く。
SSSランクという物珍しさか、お姫様だからか……おそらくは後者だろう、町について丁寧に説明してもらえた。
それにお礼を言って町中に入り俺は、まずはギルドに向かうことにした。
そうミカに告げると、
「まずギルドに行くの? 食事をしてからでもいいんじゃない?」
「……今持っている仕事を早く破棄したいんだ。もう二度と関わりたくないんだ」
「そ、そうなの。分かったわ」
俺の尋常ならざる様子に気づいたのだろう。
ミカが引きつったようにそう答える。
だが俺はそれを気にする余裕はなく、聞いた通りの道を進み、目的の地であるギルドにたどり着いたのだった。
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