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day of the necromancy!!  作者: SOTOKU
プロローグ
1/25

アンドリューの報告書

セリナ・ブラーツィカ


 誰しも一度は聞いたことがあるだろう。15年前の冬、ブレイクムーン・クライシスを引き起こした悪名高い死霊術師だ。


 バラウルドック魔術研究会の誇り高い名誉会員である私は、昨年よりこの誰も触れようとしない禁忌の事件について、ついに捜査を開始した。


 迷信深い臆病者どもは私のこの研究がセリナの復活を助長するものだとして非難するが、私は歴史を解明し反省することは人類が未来へ進むために必要不可欠な作業であると信じて疑わない。


「あれは史上最悪の事件で、今後このようなことは絶対にありえない」などと、無責任に説明できる上院議会の保身的な事なかれ主義にはつくづく虫唾が走る。


 原因がわからないのに「第二のセリナ」が現れることを予防することがどうしてできようか!


 私は議会の非難に耐え忍び、ようやくここにこの文書を公表することができる。



 私の、私一人の努力によってようやく浮かび上がってきた事実は、この事件の犯人であるセリナ・ブラーツィカが、以前は所謂「普通の少女」であり、彼女を史上最悪の死霊術師に変えてしまったのは、他でもない我々無実の人類が積み重ね、向き合うことを拒んできた問題であるということだ。


 戦争、貧困、恐慌、差別。それらの概念的な人類の罪が、一人の少女に乗り移り、今こそ償わせようと体現化された姿。それこそがセリナ・ブラーツィカという存在であると言っても過言ではない。



 今こそ我々は、罪を自覚し反省しなければならない。でなければ、何度でも「セリナ」は我々の前に姿を現すだろう。姿を変え、手法を変え、我々に罪の清算をさせようとその魔手を伸ばしてくる。


 もし我らが自ら反省し改めないならば、いつしか我ら全員の命を差し出そうとも消えぬほど大きくなった罪に圧死させられることは免れないだろう。


 その時、我らの眼前に立ちはだかるのは間違いなく、セリナの意思をついだ何者かであることを、私は確信している。


      バラウルドッグ魔術協会 名誉会員 アンドリュー・ゼフラロールス




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