“諦めない奴に誰も勝てっこない”
「負けたのかいな、そろそろ“大山祭”があるというのに、天下の斎藤勢力が何処ぞの一勢力に負けたなんぞ広めてはならんぞ。ましてや幹部クラスが」
「で、宗三の処遇はどうするの?」
「せやなぁ、今までのこともあるさかい。斎藤勢力からの除名で済ますかな。また大きな事したら入れてやる言うといてください。」
「はーい、てか私の横にいるこいつ誰?」
「そのお方は、ドイツから来た転校生や。宗三くんが開けた席、彼に入ってもらおうかな思うてますねん。」
「ふーん、てかデカいねぇー」
話を振られた大男は不敵な笑みを浮かべる。
「Danke」
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「はぁー、今日も疲れた〜」
「さっきから、このグループに入りたいって人ちょくちょく来て大変ね」
「そりゃそうですよ〜、斎藤さんのグループに恨みを持ってる方は多いですから〜」
「ほとんどが乗っ取られた部室や施設を取り返してくれっていう要望だけどな。」
コンピューター室、ここは大河原勢力の溜まり場となりつつある場所だ。
「今ふと思ったんだけどさ、ここって日当たり良いし先生の目あまり届かないし、良い場所なのになんで斎藤勢力に取られてないんだ?」
「そりゃ、俺も勧誘されてたしな。たまに挑んで来た奴いたけど、スポーツ以外なら基本大丈夫だしボコボコにして返してたから大丈夫だったんだ。」
「お前ソロで戦っていけるじゃん…。」
「まぁ、幹部クラスが出てこなかったのも幸いだったよ」
「ヒラキ お前やけに今日控えめだな」
「この前の中間テストでさ、俺もどこか少しでも間違えてたら立場逆だと考えると、神童とか言われてる俺もまだまだ井の中の蛙だったなと」
「あんたらしくないわね。まあどっちでも良いけど。そういえば、これ見て」
弥生は真ん中のテーブルに三つの生徒会発行のポスターを置いた。
「一つはクイズ大会 一つは相撲大会もう一つは球技大会よ。」
「出た。」とヒラキ
「この学校の面白いところね。通称 大山祭 全学年自主参加制で出ない人は応援 新体育館でクイズ大会 旧体育館で相撲大会 グランドで球技大会を2日かけて行う一大イベントよ。」
「それがどうしたんだよ?俺は正直面倒くさいから応援に回ろうかな。」
「あんた本気で言ってんの?斎藤のグループはココに幹部クラスを送り込んでくるわよ?潰せば見返すのに一歩近づくんじゃないの」
「まじかよ!?じゃあ、でよう!!」
「当たり前よ。私たちはこれでも幹部を倒したグループ今大会も出れば注目されるはず、だからここにいるみんな必ず勝ちなさいよ。」
「「は〜い」」
というかれんさんとヒラキの頼りない返事が来る。
「とりあえず私達3人はクイズ大会にエントリーね。あんたは相撲の方」
「まあ元柔道部だしな。そうするよ」
「球技大会は人数の都合で出れないわ。まぁしょうがないわ」
作戦を話し合っている時、コツコツと扉を叩く音がした。
「なに?言うけどうちは新参者は入れないわよ?」弥生が答える。
それと同時に扉が開き大男が入ってくる。
「よっす、どうも三年の九鬼っていうもんだ。これでも一応グループを持っている。」
「へぇ、それで?」とヒラキ
「お前ら斎藤グループの幹部をやったそうだな?宗三の野郎にはうちのメンバーも何人かやられてな、礼を言いにきた。ありがとう。」
「あ、どうも」四人全員がお辞儀をする。
「それとだ、俺のグループも今回のイベントに参加するんでな、お前らもどーせ出るだろうし、一応宣戦布告しにきた。お前ら潰して、そこのヒラキってやつをうちに加えたい。」
「は!?無理だよ!」
俺は答えるがヒラキはニヤリと笑って立ち上がる。
「良いじゃん?その勝負乗ったよ。あんたとうちのキャプテンが相撲大会でしっかり勝ち上がって勝負して決めてくれ。」
「いやおい!勝手に」
「待てみのる。その代わりだ。お前が負けたらうちに入れ?いいな?」
「ほうお前と俺を天秤にかけるか」
「実際は俺の方がデカイ存在だよ。」
「いいだろう。負ける気は無いんでな。九鬼グループはお前をいつでも待ってるぞ、では。」
豪快に笑いながら、その大男は去っていった。
「…何よあいつ。」
弥生、俺もそう思う。
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「あんたたち、エントリー表出てわよ。それと優勝者予想の校内新聞も」
「そんな盛り上げるのかよこれ。」
「あんたとヒラキ 載ってるわよ。」
どれどれ っと新聞を覗き込む。
【新勢力 斎藤チームが全制覇なるか!?】
それぞれの、優勝候補を新聞部が独自に作成したものです。
球技大会
男子優勝候補 飛騨グループ 九鬼グループ 斎藤グループ
女子優勝候補 三木グループ 金剛グループ
クイズ大会
優勝候補
羅生ヒラキ 獅子岡宗三 金剛皐月 豊田可夢偉
相撲大会
優勝候補(男子のみ)
斎藤陸 九鬼慶文 大河原みのる 勝治京 山内久光
カール シュタルクマン
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「…全然分からないだが?」
「そりゃそうでしょうね、あんた知らないもんね」
「まあ軽く説明するわ。男子の斎藤グループはとにかく人数が多いの 九鬼グループは帰宅部でやんちゃな人が多いわね 金剛グループはお嬢様グループよ 生徒会グループ が実質学校一のグループね
飛騨グループは運動部のキャプテンたちで構成されてるわ。三木グループは運動部の女子たちで構成されてる、そういう感じ。」
「ゴチャゴチャしてるけど、弥生は女子で運動部なのに、三木グループじゃなかったんだな。」
「まあ…色々あるのよ…」
「なんか、ごめん」
「別にいいわ。それはそうとあんた相撲大会のエントリー見た?」
「ああ、見た。あいつとやる可能性がある。
決勝の話だけど。」
「あんたなら大丈夫よ。でも飛騨グループの山内と勝治には気をつけなさいよ?彼らは柔道部とレスリング部よ」
「あぁ、俺は山内とか、あと九鬼とも決勝までには当たる計算だな」
「そうね、あとヒラキ君 あんたも優勝候補なんだからね?しかも獅子岡もいるわ、頑張りなさいよ?」
「分かってるって安心しろ。」
「かれんちゃん あんたは私とクイズ大会でジャイアントキリング目指しましょう。」
「は〜い」
弥生は一通り声をかけた後、俺を見る。
「じゃあ、キャプテン 気合い入れお願い。」
「分かった。」
一区切り入れて俺は口を開く。
「みんな、待ちに待ったイベントがそろそろ始まる。絶対に最後の勝負が決まるその瞬間まで、諦めないでいよう。みんな、やるぞ!やってやるぞ!」
「「「「おおおーーーっ!!」」」」
弥生の運動部の話の時の暗さ
九鬼の宣戦布告
斎藤陸との対決の可能
不安は…ある。
でも、諦めない。
“諦めない奴に誰も勝てっこない。”