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生徒会編8 拳
「ラッシュだと?」
「いや、言いすぎた。一撃で倒す。」
九鬼はそう告げる。
その答えに対し神無月仁道は笑いながら九鬼に近づき呟く。
「俺は恵まれてるんだよ。動画見て軽く動いて見て自分の才能に気付いたんだ。俺はボクシングが上手いってね。」
そして立ち止まり、九鬼を見据える。
「一撃で倒す。それは俺のセリフだ。」
そして仁道はワンステップ後ろに下がりで自分の間合いを作る。
「いくぞ…っ!!」
二人大きく振りかぶる
互いの拳が交差する。
先に相手の顔に届いたのは九鬼の拳だった。
190以上の身長から繰り出すリーチを理解していなかった仁道は所詮素人だった。
相手の拳をモロに受けた仁道は目を回しながら倒れる。
倒れた仁道を見つめながら九鬼は自分の顔をふと触る。
「っ…!」
鋭い痛みを感じて気付く。
自分の顔があざだらけであることに。
「…筋はいい。もっともっと練習を詰めろ。
また胸貸してやるよ。」
グロッキー状態の仁道は力を振り絞って中指を立てる。
数秒後完全に気を失った。
「…大河原のやつ。ちゃんと目的地についてんだろうな?」
痛む顔をさすりながら、九鬼は教室を後にする。