生徒会編7 イカサマ
「……2…?」
紫電は全身から血の気が引くのを感じた。
明らかにおかしい。
なぜ、2が連続していたなんてことがあるのか。
「私の勝ちですね。」
と久里山かれんは宣言する。
「お、おい、いかさま…いかさまだろ!?」
激昂し距離を詰める。
「それは、あなたの方だと思います!!」
さっきまでのおっとりした雰囲気からは考えられないほどの筋の通った視線を紫電に向ける。
「イカサマまでして、負けて、私に怒って…。
恥ずかしくないんですか?」
「俺は、俺は凡人なんだよ!!そうでもしないと注目を浴びれない!?おまえにわかんねぇだろが!」
「注目浴びて何か得られましたか?」
「……。」
思い当たる節を考えたが全く浮かばない。
それに気付いた紫電は項垂れ何も言わなくなった。
久里山かれんは珍しく怒気が浮かんだ顔で別れを告げる。
「さようなら。」
紫電はコツコツとローファーが遠く向こうへといく音をただ聞くだけだった。
下を向きうなだれる紫電はふと相手の手札を見て
苦笑する。
「あいつそういうのするタイプと思わなかった。
…油断したよ…。」
紫電との対決の部屋を出て久里山かれんは大きく息を吐く。
「怖かったー。バレたらどうしようと思ったよ。でも、お互い様だもんね。」
久里山かれんはクスクスと笑いながらその部屋を後にした。
彼女は最後の2を引くとき前かがみに相手の札を覗き込み、相手の視界から間にある山札が見えなくした。
その間に、持っていた2を上から被せたのだ。
その後の怒りの演出が視線をこっちに向けるためのフェイク
久里山かれんは初めてズルをした。
それほど勝ちたい
そんな戦いだった。