大山祭 1
“大山祭”
それは、球技大会 相撲大会 クイズ大会
を春に全学年参加で行い。
全学年生徒の交流と新学年生の縁を深めることを狙いとしたほのぼのとした大会だ。
しかし、この学校で勢力作りといった事が始まり出して以来 この大会はそれぞれの勢力の権威付けや勝負の場として使われ始め
今日に至っては、相当物騒な大会となっている。
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「なんとか、みのる以外は予選勝てたみたいだけど。」
クイズ大会のメンバーが予選を終えてきた。
俺は相撲大会にエントリーしているのでまだ準備中だ。
「お疲れ様。どうだった手強かったか?」
「まあ、大した事ないな。俺は優勝当たり前だ。」
「すげぇな、ヒラキ。でも万が一に備えてこれ買ったんだよ。本選までのウォーミングアップに見といてくれ。」
俺は、本屋で買った“激ムズクイズ100選”という本をヒラキに渡す。
「なんだよこれ、俺は天才だぜ?一応もらうが見ないからなバーカ」
「あんた素直じゃないわね〜」
「ですね〜」
女性陣が生暖かい目で照れるヒラキを見る。
「とりあえず、俺はそろそろ初戦だし。行ってくるよ。」
「おい、みのる」
「ん?」
「頑張れよ。」
「あぁ」
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“相撲大会”
初戦
大河原みのる vs 芥川漱石
はじめ!
開始の合図と同時にお互いが前に出て押し合う。
「あんたが、大河原勢力のリーダーか、名前は知ってるよ。なんでも期待のルーキーらしいじゃん?」
「あ、どうも。」
俺は挨拶と同時に、相手のまわしを掴み持ち上げる。
「えぇ、嘘だろ!?」
「先輩すいませんが、俺は先に進まなくちゃならないので。」
そのまま土俵外へほり投げた。
{おぉーっと!ここで優勝候補の一角 大河原選手 2年上の先輩を赤子のように扱ったーー!}
「…放送部による 実況もしてるのか。」
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「みのる君 かっこよかったですよ〜」
「先生いたんですか。」
土俵を降りて控え室で水を飲んでいると担任の湯川萌美先生が来た。
「うちの生徒ちゃん、みんな控えめで相撲大会出ていないんですよぉ!私相撲好きなのに〜」
「ははは、俺優勝するつもりなので応援できる試合数は稼ぎますよ。」
「そうだと助かりますぅ〜」
この人なんかかれんさんとタブルんだよなぁ。
その様子を遠くで見ている3人組がいた。
「あんの〜エロ猿が、いつでも発情期か!」と弥生
「お前嫉妬深いにもほどがあるだろ」
それにすかさずヒラキがツッコム
「嫉妬じゃないわよ。なんかしでかさないように見張ってんのよ!」
「みのるさ〜ん、私のダブってるキャラはダメです〜」
「あ、笑顔でこっちきてんぞ。お前らがこんな悲鳴をあげてるに関わらず。あいつ絶対女難の相あるよ。」
「みんあ何してんだよ。こんなとこで」
「お前の応援してたら、女連れ込んで控え室行ったから声かけづらかったんだよ。」
「言い方!言い方!」
後ろで弥生が般若の顔してたので、これ以上話は深めず話題をかえた。
「今回あんまりエントリーしてないから、次から柔道部 山内久光と勝負だ。」
「そいつは、飛騨グループの幹部だから心していけよ。」とヒラキ
「あぁ」
「あんた次は私たちも本選あるから応援できないわ。次に会えるのは今日の大会が終わってから。だからそれまでに必ずみんな勝ち抜いてくるように!」
「「「それ死亡フラグ!!!」」」
3人がすかさずツッコム。
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大山祭は初日に予選と本選を半分行い
明日大々的に準決勝 3位決定戦 決勝を行う形になっている。
“相撲大会”
準々決勝
大河原みのる vs 山内久光
{おぉーっと、ここで注目対決!両者柔道経験ありの実力者です!}
実況が体育館に響いている。
その声に混じって試合開始が告げられる。
「「しゃっー!!」」
お互い両手を大きくあげて気合の声を出す。
{両者抱きついて、まわしをしっかりと掴んでいます!やはり柔道は持つと強い事をお互い理解しており少しも動きません!!いや!もしや!!お互い引きつけあっているが力が拮抗してその場でとまっているようにみえるだけです!!}
「ふん、えらく気合の入った実況だなぁ。な?お前も思うだろひのる」
「みのるだよ。馴れ馴れしいな。」
「すまんすまん。いやぁ、俺も現役だしな負けるわけには行かないから勝負決めさせてもらうぞ」
急に後ろに引き始めた山内
こいつ相撲理解してるのか?押し出されたら終わりだろうに。しかし彼なりの作戦があったみたいだ。山内は、大内刈りという相手の足を内側から刈り取る技を使う。
「お前中学からこれ好きだよな」
「しまっ」
大体来ることが予想していた俺は、山内の技をしっかりと受け止め、不安定なバランスの山内に体重をかけていく。
あとは、山内が倒れるだけだ。
しかし、山内は急に後ろに倒れて受け身をとる。
「「「「「「あっ」」」」」」」
場内静まり返る。
「お、お前、これ柔道じゃないぞ、相撲だぞ?体ついたら負けだろ」
「…やってしまった。飛騨に怒られる。」
山内が投げられる事を恐れて、あえて俺から離れて後ろに胸から倒れて行ったが、これは柔道ではなく相撲。本人的には九死に一生の作戦だったみたいだが、まさかの敗退。
{しょ、勝者は…大河原選手…です。}
まばらな拍手が起きた。
直後ものすごい勢い衝撃音が横の土俵から響く。
振り返ると、そこには斎藤陸が立っていた。
{な、なんと、斎藤選手!わずか数秒でレスリング部の勝治選手を投げ飛ばしましタァーー!!怪我が心配される高さから落とされましたよ!}
場内はとてつもない歓喜に包まれる。
足裏以外付けば終わりの相撲でわざわざそこまでの大技をやる必要はない。
あの静まり返った空気を多分あいつは感じ、一瞬で自分がヒーローのステージに仕上げたのだろう。どこまでも、いけ好かない男だ。
「…」
なんだか一瞬 斎藤陸が俺を見たような気がした。
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「凄いですよぉ!みのる君!このまま優勝とっちゃって下さいね!」
先生は、なんと俺の顔がプリントされた団扇を持っていた。
「ちょっっ!これ恥ずかしすぎますって先生!」
「いいんですよぉ〜、私むしろ自慢の団扇です!」
「いや先生が恥ずかしい気持ちになるかならないかじゃなくて、俺がですよ!もう一回言います。俺が!恥ずかしいんですって!」
「大丈夫ですよ!みのる君のファンクラブも着々と増えて目立ちませんから。」
「んー、そんなもんなのかぁ?」
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“放課後”
いつものコンピューター室で俺たち四人は集まっていた。
「で、明日の準決勝に進んだのは俺とヒラキ と。」
「「面目無い。」」
女性陣が頭を下げる。
「まぁ、しょうがないだろ。かれんさんは獅子岡と結構いい勝負したらしいし。ただ、相手に殴り抱えるのはやばいよ弥生さん」
「いやあれはその〜」
「豊田可夢偉選手だっけ?口が悪い人だよ確か」とヒラキ
「それは、弥生の一番手が出てしまうタイプだな」
弥生は事実である事を痛いほどわかっているので、顔を赤くしたまま下を向いていた。
「まぁ、いいよ。俺が明日 豊田可夢偉とだしお前の分も含めてぶっ潰してやるよ」
「あ、ありがとう」
ヒラキの男気に感激しつつ
「じゃぁ、明日のために今日は早く帰って寝ましょうか。」
俺たちは解散をした。
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クイズ大会
準決勝カード
羅生ヒラキ ー 豊田可夢偉
金剛皐月 ー 獅子岡宗三
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球技大会
準決勝カード(男子)
飛騨グループ ー 九鬼グループ
斎藤グループ ー 俺らサッカー部卍 グループ
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相撲大会
準決勝カード
斎藤陸 ー カールシュタルクマン
大河原みのる ー 九鬼慶文