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くだらない唄

作者: にこる

この小説を読んで下さった貴方。


ありがとうございます。


この話は、私の大好きなBUMP OF CHICKENというロックバンドの曲の「くだらない唄」という曲を元に、作りました。


筋書きは、曲そのものとなっています。

ですが、私の解釈を元につくったので、そこはご了承ください。



この話をよんでこの曲に興味を持って頂けたら、嬉しいです。



それでは、お楽しみ下さい。





「僕、君に絵を描いてあげるよ」










白いベッドからでちゃいけない君に僕は言った。




白い白衣を着たサンタさんからもらったもう無くなりそうな水彩絵の具とスケッチブックを握って、僕はとっておきの場所に走った。
















「っは…」













息が苦しくなるけど、僕は走った。








君に、この景色を見せたい。










笑顔にしたい、そんな気持ちでとっておきの場所に走った。

























"とっておきの場所"は、僕達が住んでる白くて大きな建物の裏にある、小さな丘。






昔、そのこと出会って、仲良くなった思い出の場所。




その丘で、僕は絵を描きはじめた。















「花は…黄色にしよう!」













この花よりも黄色の方が見つけやすいから。











三日月が光る頃まで、僕は夢中で絵を描いた。

















「こら!やっぱりここに居た!」
































白い服を着た女の人が呼びに来た。














「明後日、僕らの誕生日なんだ。だから、完成させたいんだ!それに…」










あのこには、あと10年しか時間が残されてない。





そう言いかけて、言葉を飲み込んだ。


















16歳になる、明後日。



















僕らの住んでる所では、小児科から、一般の病棟に移る。



























大人になるんだ。

























「明日僕らは大人になるから…ここでの思い出をあの子に渡したいんだ」




「そう…じゃあ、私がそばにいるから、体調がわるくなったら教えてね」




「わかった」








黙々と描き続ける。








そして、




















"神様。どうか、あの子の命わわあと10年、持たせてください。"と、祈った。














僕はあの子と約束したんだ。









10年後、お互いにまだ元気だったら…




またこの場所で思い出を作ろうって





最後に、あの子の好きなたんぽぽで冠を作った。









「今日はこの辺にするよ」








そう伝えて、自分の部屋に戻った。













明日、どんな風に喜んでくれるかわくわくしながら、目を閉じた。





























翌日。


なんだか周りが騒がしくて目を覚ました。























「412号室のーーーーー」






















そう聞いた瞬間、頭が真っ白になった。




僕は、思い出を閉じ込めた絵とたんぽぽの冠を握って、412号室に急いだ。













と。






















「先生!心拍数回復しません!血圧も急激に下がってます!」




「心臓マッサージをつづけろ!」



そんな言葉を聞いて、我に帰ると、先生に掴みかかっていた。



「先生、言ったよな!このこは助かるって!あと10年は心配無いっ「どいてくれ!」






跳ね除けられても、掴みかかった。








「おい!なんか言えよ!」











それからも、先生は僕を無視し続けた。




「先生!薬を投与しても、心臓マッサージをしても、回復の見込みがありません…」













すると。









































「ピーーーーーーーーーー」










































嫌な機械音と、僕の叫び声が響いた。


















冷たくなったその子にたんぽぽの冠をつけてあげて。



















現実が受け入れられない。













その時、僕のTシャツからたんぽぽの匂い。

















君の笑顔が忘れらんない。



















僕は君の部屋をとびだし、あの丘に逃げた。










そして、昨日の絵の最後の一筆に願いをこめる。





























"どうか、嘘でありますように…どうかあの子が目の前で笑ってくれますように…"と。








すると。









風がふいた。










































「また、絵を描いてるんだね」




































隣で君は微笑み、うつむきながら、たんぽぽで冠を作っていた。





目をこすると。







君の姿は消えた。






でも、たんぽぽの冠が落ちていた。

























君の部屋に戻った。












そして、君に絵を渡した。







「僕も多分もう少しでそっちに行くから。待っててね…」











僕の後ろで見たくない黒い背広たちが泣いていた。






























もう来るはず無いのはわかってた。























でも、信じずにはいられなかった。








































君は絵の中で頭にたんぽぽの冠をつけて、微笑んでいた。
























僕は嗚咽をこぼしながら、たんぽぽの丘で震えていた。




*end…*


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] おはようございます。読ませていただきました。 なんていうか、すごく、想像力をかきたてる作品で、物語が広がっていくような気がしました。 白い画面に色がついていく、不思議な感覚を持ちました。 悲…
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