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第8話 魔術(物理)の巻

日も暮れる頃になり、城下からは炊事の煙と思しき煙がチラホラと昇る。

「さあて、どうすっかなぁ?」

「どうするって?」

貴明のぼやきにモニカが反応する。

「帰って寝るかなぁって思ってさ」

「「帰る?」」

とのアルとモニカが声を合わせて返す。

「あの丘のあの建物、ぼくんちなんだよね」

との貴明に、

「あれはあなたの家でしたの?」

と、モニカが返す。

「そう、それでさ、あの家のある土地って何の土地?」

「あそこは、騎士団の演習場でしてよ」

「あのへんって物騒?」

「周りに人が居ないので物騒かどうかはわかりませんわ」

「夜中にガラス割って冒険者とかが入ってこられても迷惑なんだよね」

「街道とは離れておりましてよ」

「ふーん分かった。じゃあ安心みたいだから帰るね。明日はどうすれば?」

自宅近くの安全がわかるとさっさと帰ろうとする貴明。

「では、私もお伴しましょうかな」

「だめよ、今夜は城に泊まって行くといいわ」

アルとモニカで意見が別れる。というか付いて行こうとするアル。

部屋きったないからあんまし人入れたくないなぁと考えながら今日の夕食のおかずをどうするかということを忘れていたが、それを言い出せない貴明。

アルとモニカが二人で言い争っている。

それを割ってジャンヌが意見する。

「今日これから第二隊は野営訓練を行う。場所は訓練場」

助け舟と思ったアルは、

「私はこの訓練にお伴しますゆえに」

と言い、モニカを抑えこもうとする。

貴明は、これで夕食と明日の朝食がなんとかなるかもしれないと思い、アルに助け舟を出す。

「じゃあ、今夜はアルさんうちに泊まってってよ。この国の話もっと聞きたいからさ。ちょっとだけどお酒もあるし」

との、発言にアルは、

「キヨダ殿の国のお酒ですか。気になりますなぁ」

と、行く気満々である。

モニカが、

「明日は第二隊は魔術演習も行いたいと思います。その巡閲に私も行きます。アルカディウス・フォン・ペンブロークはこの演習の主魔術師として参加することを決定します」

と、翌日に演習を入れた。

主魔術師で魔術演習かぁ、疲れるんだよなぁと言いたそうな目でアルはモニカを見ていた。

そんな目線を気にせずにモニカは、では、第二隊は準備を整えるように」

と言って行ってしまった。ジャンヌも、了解とだけ言って行ってしまった。

「近衛騎士団ってモニカが団長なんですか?」

と貴明はアルに問う。アルは、

「近衛騎士団ってのは王家直属だから一応モニカにも命令権があるのさ」

と哀愁漂わせながら答えた。

アルは、俺も用意してくると言って、何処かへ行ってしまった。

しばらくすると、三人とさっきの騎士たちが車の近くに整列し始めた。

モニカの号令と共に彼らは出発した。今回は野営も含むからだろう、十数台の荷馬車が隊列に加わっていた。

そんな中、アルは、また乗せてくれよと言ってきた。モニカも、アルに唆されたのだろう、車に乗せてくれと言ってきた。ジャンヌは隊長であるからであろう。自分で馬に乗っていた。

貴明は仕方ないなあと呟きつつ後ろのドアを開けた。

今回は三人となるため、後ろに二人を乗せた。

アルは慣れたようであったが、モニカは初めての乗り心地に感動しているようであった。

家についた頃にはすっかり辺りも暗くなっていた。

騎士たちはテキパキと野営の準備を進めていく。

30分ほどで天幕の設営が終了し、ある一群は食事の準備、ある一群は歩哨、またある一群は周辺の捜索と、バラバラに散った。

家について一時間ほどで食事ができた。貴明も相伴に預かる事ができた。この日の夕食は麦粥と干し肉であった。

貴明は、アルを介して、騎士に食事のことを訊いた。

騎士は下級騎士の生まれで、名をグスタフ・シュルツというそうだ。

グスタフによれば、下級騎士、平民の日頃の食事はこんな食事だそうだとのことであった。

アルによれば、貴族以上になってくるともう少しおかずが増えるとのことであった。

貴明は、産業革命以前の食事はこんなものだったんだろうかと思いながら食事を終えた。

食事が終わり、アルを呑みに誘う。すると、アルはモニカも誘おうと言ってきた。

アルが言うには、モニカも他国の文化に興味があるとのことであった。

二人を連れ、アパートの階段を登る。鍵を鍵穴に差し込み、鍵を開ける。入り口の照明のスイッチを入れると、入り口の明かりが点いた。二人は眩しそうに灯りを見つめる。

貴明はそんなことお構いなしに奥へと進み部屋の明かりをつける、そして二人を呼ぶ。

二人ははっとしてから土足のまま入ってこようとしたので、それを制する。

「うちの国は家では靴をぬぐ文化なんで」

そう貴明が言うと、二人は靴を脱いだ。

部屋に入った二人を見ると、キョロキョロと周りを見ていて、非常に落ち着かない様子であった。

貴明は二人に座布団を用意し、座らせた。

そして貴明は酒を用意する。今回はワインとウィスキーとウォッカの三種類であった。

ウィスキーは無難にバランタイン・ファイネスト、ウォッカもストリチナヤとメジャーなものを選んだが、ワインの知識は貴明には少なく、一本500円ぐらいの赤と白であった。

つまみには、さきいかとナッツを選んだ。

更に、グラスとソーダと氷を用意し、お盆に乗せて持っていく。

二人はビクッと方を震わせ、こちらを向いた。

「お待たせしました」

と貴明が言う。

二人は目が点になっている。

二人の目線の先は透明なグラスであった。

二人に聞いてみると、あまりにも透明であったので、水晶かと思ったそうである。

二人にガラスであることを告げると、更に驚いていた。

この世界ではガラスは高価で、更に透明度も低いようであった。

二人に何を飲むかと聞くと、ワインと答えられた。

どうやらこの世界では蒸留酒はまだ無いようであった。

二人のグラスにワインを注ぎ、二人が口に含んだ時点で二人がむせた。

どうやらこのワインは辛く、アルコールが強いそうであった。

おそらく、醸造技術がそれほど進んでいないのだろうと思われた。

そんな二人に冷凍庫で冷やしたウォッカを勧める。

最初はその冷たさに驚いていたが、飲んだ瞬間、盛大にむせ、言った。

「「喉が焼けるようだ」」

そんなこんなで酒を交えながら話をしていく。

貴明は明日の魔術演習について訊いてみることにした。

魔術演習というのは、主魔術師の魔法を副魔術師らが適切に分散させ、広範囲に魔法を分散させる、または魔法を収束させるための演習とのことであった。

貴明は、魔法と魔術についても訊いてみる。

すると、アルが答えてくれた。

「魔術とは、火、水、鉄、雷、風、光、土それぞれの魔素を用いて起こす現象のことで、魔法はさっきの七つの魔素以外、または魔素以外の力を使って起こす現象のことさ。大体の世の中のものは七つの魔素から成り立っているとされているよ。逆に、魔法はこの世の理をねじ曲げるものと考えられている。治療魔法(ヒーリング)なんかがそうさ。あと、今回君を呼んだのも魔法に分類されるね。魔術は、できることに対してランク付けされる。ランクは大体五つで上級、準上級、中級、準中級、下級ってな具合にね。下級でも五十人に一人ぐらいしか居なくて上級なんて国に数人居ればいいくらいだね。あと魔術には得意不得意があるみたいで、火の上級があるからといって他もできるなんてことはないね。全部同じぐらい出来る人もいるけど大体そういう奴は行けても中級ぐらいまでだな。治療魔法もランク付けされているがもっと複雑だ。まずは、怪我か病気かで別れる。それぞれに下から下級、準中級、中級、準上級、上級、準聖級、聖級、準神級、神級と九つに分けられる。でも、まあ聖級より上ってのは居ないから実質七つだけどな。」

貴明は、なんで聖級より上が居ないのか訊いた。すると、

「聖級ってのは取れた手とか足がくっつけられるレベルさ。準神級になればそれが動く様になるって話で神級だと瀕死でも治せるって話だ。過去に居たって話だが半分お伽話みたいなものさ」

と返された。

その後、話の途中で寝てしまったモニカを寝かせ、アルと話を続けた。

魔術と魔法を使えるようになりたいとの貴明の願いにアルは快諾してくれた。

しばらくするとアルも酔いつぶれてしまったようで、寝てしまった。

貴明は、酒やつまみを片付け、ベッドで横になり、ノートパソコンをいじりながら古いアニメのDVDを見ていた。ふと時計を見ると日付が変わっていたので目覚ましをセットし、寝ることにした。

起きてもやはり夢ではなかった。

目の前には二人がおり、演習は予定通り行われた。

アルから魔術の基礎を教わる貴明、試してみろと言われて試した魔術とは?

次回、第9話 初めての魔術


そのうち登場人物紹介書かなきゃなぁ

テスト勉強もせんとなぁ

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