第4話 いざ城へ
「自分の乗り物ですって?構わないけど、どこにあるのかしら?」モニカが答えた。
アルは、「僕達に付いて来れるならいいけど?大丈夫かい?」と心配そうに返した。
ジャンヌは無言でこっちを見ている。意外と無口なようだ。だがなんか怖い。
「地下に有ります。今から持ってきますけど、なにか必要な物とかあったりします?」一応聞いておく。
「必要なもの?特に無いんじゃないかな?」とアル、
「必要な物より、もう少しまともな格好して欲しいわね」とモニカ、はたまた無言なジャンヌ。
「分かりました。しばらく待っていてください」
と言ってまず部屋に戻る貴明。
まず行ったのは着替えだ。
スウェットとパーカーという非常にだらしない格好から、貴明が選択したのは、ツータックのベージュのチノパンとチェックのネルシャツと紺のダブルのジャケットをチョイスし、ジャケットのポケットにはワンタッチネクタイを忍ばせておく。
「一応車の中に入れておくか」
と言って三脚とハンディカムと一眼レフをリュックサックに入れ、ポリカーボネート製のライオットシールドを持って部屋から出た。
部屋から出た貴明は、三人に服装について尋ねた。
アルは、「いい仕立ての服だね。結構高かったろう?」と、
モニカは、「へぇ、まあまあね」と、
ジャンヌは「これはいいものだ」と白磁の壷を評価するように呟いた。
服装に関してOKをもらえた貴明は、地下駐車場に行き、荷物をトランクに入れた。
貴明は、いつもの様にカーナビのDockコネクタケーブルにiPod Classicを接続し、お気に入りのプレイリストを選ぶ。
今回はクラシックだった。地下駐車場から特に問題なく出る電気自動車。
出てくるやいなや、周りがざわめき始める。
モーター音によって馬は興奮し始め、騎士は馬を宥める。
車が地下から姿を出し始めた事によって騎士たちもざわつき始める。
一方、車内では、そんなことお構いなしに音楽でゴキゲンになっている貴明がいた。
三人の前に車を止め、サイドブレーキを引く。
ブレーキペダルから足を離しても動き出さないことを確認して降りる。
すると、固まっている三人がいた。
「なにしてるんです?」との呼びかけにも反応しない。
貴明はトランクから一眼レフを取り出し、三人を撮り始めた。
すると、ジャンヌがいち早く反応し、モニカを庇うように前に出た。
「なにをするっ!」ジャンヌが声を荒げる。
「三人の姿が面白かったので、ついむしゃくしゃして写真を撮った。済まなかった」貴明が謝る。
「写真?なんだいそれは?」アルが尋ねる。
「目で見たものと変わらない絵のことですよ」と答える。
「そんな便利な魔法具があるのね」と、モニカ。
「二度と突拍子のない行動はするな」と、真顔で言うジャンヌ。怖さ倍増である。
「それはそうと早く城に行きましょうよ」と、話題をごまかす貴明。
「この馬車って馬が居ないけどどうやって牽くんだい?」とのアルの質問に貴明は
「詳しいこと説明すると二、三日以上かかりますけど聞きたいですか?」と返した。
アルは聞きたそうだったが、モニカの「そんなことより早く行かなければ日が暮れてしまうわ」という一言によって断念させられた。
早速文明の利器を湯水のごとく使いまくる主人公と作者。
次回、第5話 「城への道中、そして謁見へ」 お楽しみに!