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第13話 初めてのお泊りとお仕事

少しずつこの世界のことを入れていきたいと思います。

 城の正門を抜け、入城する。

車を前回と同じ場所に寄せ、シフトをパーキングにし、サイドブレーキを引き、駐車する。

トランクを開け、荷物を取り出し、アルに付いていく。

 城に入り、アルの執務室に荷物をおき、また移動する。

 行き着いた先は、食堂であった。

「日も暮れてきたし、まずは腹ごしらえしようか」

と、アルが言った。

ここの食堂は騎士たちが主に使う食堂とのことであった。

量が多く、そしてそこそこうまいとのことであった。

 やや大きめな木の器を取り、配給の列に並ぶ。

器に汁物が入れられる。どうやらシチューのようだ。具材が結構たくさん入ってる。

列を進むと、パンが渡された。黒パンであった。

 アルと向かい合って席につく。先ほど渡されたパンを手に持ち、じっくりと眺める。

日本で売られている食パンよりやや重い。そして、香ばしい香りがする。

どうやら全粒粉のパンのようであった。

 「どうした?パンが珍しいのかい?」

パンをじっと見、そして匂いをかぐ貴明を不審に思ったのであろう、アルが問いかける。

 「まあ、色々と珍しいことは珍しいですね。パンはあまり食べないので」

貴明は麦飯派であったため、パンはあまり食さない。

 「へえ。じゃあいっつも何食ってたんだい?」

アルが尋ねる。

 「麦飯って言って、米と、蒸気で押し潰した大麦を蒸気を掛けて押し潰したものを混ぜて炊いたやつを食べてました。米だけよりも体にいいんですよ」

と、貴明が答えた。

 「米ねぇ。南のユーゴラトバキア王国より南で作られてると聞いたことはあるが向こうより涼しいこの国で作れるかわからないからなぁ、こっちでは作ってないんだよ」

アルが答えた。

 「米ってのは単位面積当たりの収穫量は麦なんかよりも非常に高いんですよ。僕が知ってる限り、人口が麦を主食とする国より倍近くありますね。そうすると税収も増やせるのでは?」

と、貴明が答えると、

 「米の素晴らしさは分かったが、あれは沼みたいな地形で作るんだろ?そんな地形はあまり無いし、農民だってそんな所入ったら風邪引いちまうだろ?」

と、アルが返す。貴明は、

 「確か畑で作る方法もありましたよ。っとその話をすると折角の温かい食事が冷めますよ。食べてからにしましょうよ」

そう言って一旦話を切った。

シチューには根菜類と鶏肉と豆が入っており、美味であった。パンも食べごたえがあった。更に腹持ちもよく、貴明は全粒粉のパンを見直した。

 食事も終わり、中庭にでると夜の帳が下り、暗くなっていた。

 「さて、残りの光魔術をやってもらおうか」

アルが、言った。

手から光線を出した時に軽く説明があったが、光魔術は、主に補助魔法のようなものであるとのことであった。暗い迷宮や夜襲を受けた時に、光魔術で周りを照らして、辺りを確認するといった感じの魔術である。

 貴明は、まず、懐中電灯をイメージする。手から光束が出、五十メートル程度の距離を照らす。

その次に、そのイメージをやめ、新しいイメージをする。

戦争映画で見た、花火の様に照明弾が打ち上がり、しばらくそのまま空中に漂うイメージだ。

 その瞬間、まばゆい光の玉が空へと打ち上がり、城と城下を照らす。光の玉はゆっくり、徐々に高度を下げていく。二十秒ほどは経ったであろう。光の玉は徐々に暗くなり、夜空に消えた。

 「光魔術ってこんな具合ですか?」

貴明はそうアルに尋ねた。

 アルは、「大まかにはそんな感じでいいんじゃないかな?そんな使い方は初めて見たけど」

と、半ば諦めが着いたように言った。

 「さて、全部の属性ができるとは思わなかったが、見た感じ全部準上級は名乗れるんじゃないかと思う。僕は土の上級と火の上級を名乗れるからその二つについては上級でもいいと思うけど、他は鉄が中級で残りは良くて準中級だから簡単に名乗っていいとも言えないんだよなぁ…」

と、困ったように呟いた。

「この国には他の上級者はいないんですか?」と、貴明が尋ねる。

「普通、魔術ってのは少しでも才能があったら習い始めるが、最初は準中級から中級ぐらいの魔術師が入門用の魔術書の記述と照らし合わせながら格付けと指導を行うんだ。俺も十年ぐらい前にやったし、やられたなぁ。まあ、俺の過去は置いといてだ。魔術書どおりにやって、才能がある属性を絞り込んで、その属性を主に使う高位の魔術師を紹介してもらって弟子入りして魔術の教練と格付けをしてもらう。そして認められればそれぞれのランクを名乗ることができるって言うのが、この辺での魔術師へのなり方って感じかな。だから、国を超えて弟子入りなんてのもある。ザーパト辺りは数人の上級魔術師を一か所に集めて効率的にやってるらしいが、うちではそんなことやってないから、魔術師が偶然この国に立ち寄るとかでもない限り上級魔術師に会うことは無いだろうな」

と、困ったように言った。

「まあ、魔術で食ってくつもりはないんで、別に何級でもいいんですけどね。そういえば、治療魔法とかはどうするんです?明日ですか?」

貴明が尋ねた。

「そうだな、治療魔法ではとっておきの人物が居るんだが…もう寝てしまっただろうな。明日にしようか。それでも少し寝るには早いからなぁ、さっきの話でも聞こうか?」

とアルが言った。


魔術の格付けが終わった貴明。

しかし結果はなんとも言えないものであった。

「やる意味があったのか?」とは言わない貴明。

治療魔術は明日と言われた貴明。

アイディアを聞かれる貴明。

貴明のアイディアとは一体何なのか?


次回、第14話 うまい話


一話一話が短いですかね?

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