第9話 初めての魔術
一話ごとの分量が安定しないなぁ
ふと、揺すられたので嫌々ながら目を覚ます。目の前にはモニカが居たのでとても驚いた。
揺すっているのはモニカであった。その後ろにはアルが耳をふさぎながらこっちを見ていた。
頭の後ろに違和感を感じたので触ると目覚まし時計であることがわかった。
目覚まし時計がなっているので止める。
すると、二人は安堵の表情をあらわした。
「起きたら変な音がしましてとても驚きましたわよ。しかもキヨダ殿の頭から聞こえたのですわ。それで大丈夫かと思い揺すったところ頭の後ろの何かから音が聞こえてくるんですが、段々と音が大きくなっていくのでとても不安になりましてよ」
と、泣きそうな顔でモニカが言った。
時計を見ると、6時10分であった。
カーテンを開けると、朝日と立ち昇る炊煙が見えた。
二人と共に外に出る。まだ日が登り切っていない所為かやや靄がかかっていた。
今日の朝食も昨日の夕食と同じ、麦粥と干し肉であった。
朝食が終わると騎士たちは天幕を片付けていく。片付けは早く、15分程度であった。
演習を始めるまでの間、貴明はアルに魔術の基礎中の基礎を習っていた。
「いいか、魔術も魔法もイメージだ。イメージと術式に合った魔素を集めればいい」
「そんなこと言っても魔素なんてどうやって集めればいいんですか?」
「流れを感じろ。流れを。この世界において起きていることには全て魔素が流れている。それを感じ取るんだ」
貴明は、この流れの一つを感じ取った。それは熱である。
熱とは、エネルギーの一つであり、一つの終点である。
例えば冷凍庫から、カッチカチのアイスを取り出す。放っておけば、アイスは周りの熱で溶けてしまうだろう。この逆はないだろう。デロデロのアイスが熱を放ってカッチカチになることはおそらく無い。絶対にない。これを不可逆変化という。
このことは、「熱は、高温の物体から低温の物体へと移動し、自然に低温の物体から高温の物体に移動することはない」と言う熱力学第二法則の例でもある。
エネルギーが移り変わるとき、エネルギーの総量は変化しない。しかし、不可逆変化により、エネルギーは変換されるうちに熱へと変わっていくのだ。
貴明は、この流れの元を思い出す。高校の物理で習った4つの力である。
重力、強い相互作用、弱い相互作用、電磁気力の4つである。
貴明は、演習場の端の方を目標にした。
貴明は、演習場の塀から熱を取り去るイメージをする。そして、そのエネルギーを光に変えるイメージをしてみた。
すると、石で出来た塀が青白い光に飲み込まれた。青白い光は十数秒続き、消えた。そして、塀の一部もえぐり取られたように無くなっていた。
いきなりの光に周りがどよめく。
アルに出来を訊いたところ、
「ありゃあ上級を超えるんじゃねえか?あんなん初めて見たぞ」
と、驚かれた。
アルによると、上級で白色の光が出せるらしい。
どうやら色温度と関係がありそうだ。
なんとなくイメージが固まったので、次は、掌から光を出してみる。
掌から太い光が出て行く。掌には何も感じない。
光が人に当たらないようにに掌を空に向けておく。
掌から光が出たが、掌の形の光なので、もう少し細い光線をイメージをする。
すると、光は指ぐらいの太さになる。
この光を塀に浴びせる横一文字に浴びせてみたが何も起きていないようであった。
この光を一点に浴びせ続けてみた。遠くからでは塀の表面に何が起こるかわからないので、光を浴びせながら段々近づいてみる。塀の表面が見えるくらいになった時、貴明は気付いた。
石塀に穴が開いていた。へえと思って石塀に手をつきながら穴を見ようとした時、石塀が奥に倒れてしまった。
なんかものすごい魔術を繰り出してしまった貴明、
演習を見ていまいち統率が取れていないことに気付く貴明、
そして、アルの職位を知る貴明
次回、第10話 演習の見学
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