プロローグ
-12月8日午前7時00分-
ピッ、ピッ、ピッ・・・
ピピッ、ピピッ、ピピッ・・・
ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ・・・
ピピピピピピピピピピ・・・
カチッ、
今日の目覚ましの任務は終わった。
6時30分からのべ3回のスヌーズ機能、古い集合住宅に於いてはなかなかに騒音となり得るレベルであるが、築25年を超え、入居者がついに一人となってしまったこの建物では特に問題とならなかったのであった。
「何時だ?」
デジタル表示の目覚ましに手を伸ばし、手繰り寄せ、時刻を見る。
「やべっ、もう7時か」
青年は呟く、
「あれっ、メガネどこ行った?ってかまたメガネ掛けたまま寝ちまったよ」
メガネを探す。
「ベッドから落ちてはなさそうだな。んんっ?あった。枕の下だったか」
どうやら無事見つかったようである。
「さて、飯でも準備するか」
冷蔵庫を開ける。悲しいことに冷蔵庫には100%アップルジュースと低脂肪乳と調味料とヨーグルトしかない。
「冷凍食品なんかなかったかな?」
冷凍庫を開ける。アイスとグリンピースと鶏むね肉しかない。
「いまいちだな。昨日朝飯分買わなかったことがここで響くとは」
青年は鍋で湯を沸かし、そこにコンソメとグリンピースをぶち込み始めた。
「ベーコンもウインナーも温玉もないってのは見た目的にアレだがしょうがないな」
5分後、コンソメでグリンピースを茹でただけのものが出来上がった。
青年はそれを食べたあと、今日の準備を始める。
-8時20分-
「さて、そろそろ出ますか」
身支度を終えた後、部屋の照明をを消し、いろいろと必要のないものであふれるカバンを肩から下げ、ドアを開ける。そして、ドアを閉めた。そしてもう一度ドアを開ける。
ドアから見えた景色から分かったことは、ここが石造りの壁のようなものと門のようなものがあるということだけであった。
「ここどこ?」
青年は呟くが、答える者はいない。