第981話 再び帝都にて㉑
「私は昔、伝承にある超級の足跡を回れるだけ回りました。ほとんどの伝承が創作や既存の魔法現象の拡大解釈で説明がつきました。しかし、幾つか、超級の存在がなければ説明がつかない事象が確認で来たのです」
おおっ、それこそ、私達が求めていた情報だ。
まさか、先駆者がいたとは。
「お話できる確度の高い伝承が一つあります。冬夜の魔女の伝説というものです。今から100年ほど前、アルヴィジョワ大陸のヴァロワ地方で、大規模な疫病が流行りました。その際、冬夜の魔女が自らの庭園を解放し、人々を疫病から救ったというものです」
ツンフトはまるで昔話を語るかのように穏やかに話を進める。
「ここまでなら、よくある話です。たまたま、魔女の庭園に特効薬があったなど、偉業に対して簡単に説明がつきます。しかし、冬夜の魔女の偉業はこれだけではなく、大小合わせて数十存在し、実際にヴァロワ地方に入って伝承を遡ってみると幾つか説明のつかない現象が確認できました」
当時の記憶を掘り起こしているのだろう。
瞳を閉じ、自分に没入し、何かを探しているかのような語り口に変わった。
「飢饉が起きた。しかし、魔女の勧めにより、数年前より救荒作物を植えておいたから助かった。干魃が続いた。しかし、魔女の勧めにより、数年前より治水事業を始めていたから助かった。重税を課せられた。しかし、魔女の勧めにより、没落した貴族の援助をしていたため、重税を避けられた等、随分と都合のいい話ばかりが伝えられています。政治力が高かったと言えば、それまでですが別の表現の仕方もあります。魔女は未来を読んでいた。あるいは失敗した過去を経験していた」
読んで頂きありがとうございました。次回の投稿もなんとか頑張ります。
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