第971話 再び帝都にて⑪
「魔導現象学の学者に解析不能な魔法現象について聞き、魔導統計学の学者にその位置を特定してもらいます」
アベラールが私の期待した通りの回答をしてくれる。
「詳しい話は本人達に聞いた方がいいでしょう。結果を得るためのチューニングも必要ですし、さあ、急ぎましょう」
なにやら、妙な言い方をする。
チューニングってなんだ?
まだ納得していない私を尻目に、アベラールは私の手を引いて先に進んで行く。
こういう時は大抵、良くない場面に遭遇するんだが…
◇◆◇
案内された場所は帝国大図書館の隣にある帝国魔法研究所の一室だった。
帝国大図書館を出てるとすぐに帝国魔法研究所の建物に入れた。
さっきは一切、気付かなかったが、やはり巨大建築の宿命なのだろう。
出入口がそこかしこに設けてあるようだ。
先程、私が帝国大図書館の正面玄関から入ったのはアベラールの策の内だったようだ。
帝国大図書館と帝国魔法研究所は非常に複雑な形で絡みあっており、機能美を是とする帝国の中では珍しく非効率な建ち方をしていた。
おそらく、帝国大図書館と帝国魔法研究所がそれぞれの方針で建物の拡張を進めたのだろう。
統制なく拡張工事を行ってきた歴史の片鱗のようなものが垣間見える。
過去の知識の収集を優先するか、新しい技術の開発を優先するか、歴代皇帝はさぞ悩んだのだろう。
その葛藤が建物の形に現れている。
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