第97話 私を助けてくれる人が私に与えた役割
「ベイルカードを配置! 続けてレベルを5捧げて魔法カード【神をも殺す病魔】を発動、さらに【黒気】展開」
祥君がエミリーをRDHへの布陣を着々と築いている中、私は迷っていた。RDHとは流れの中で敵対することとなったが彼と祥君との高レベル戦闘に割って入っても瞬殺されるだけだろう。ならば、祥君の回復役に徹するかと思ったがRDHを相手にそれも難しいだろう。こんなところまでついてきて何の役にも立てないのかと自分を責めていると祥君から内部通信(気)が入る。
(真澄さんは戦闘に参加しないでエミリーに声をかけて、祈り続けてくれないかな)
(けど、そんなことをしてもシステムバクが原因だったら意味がないんじゃ・・・)
壊れた電子レンジに治れ治れとお祈りするようなものだ。祈りで事が成るなら世界はとうの昔に恒久平和を実現しているだろう。
(あれ、真澄さんがそれを言うの? エミリーを人形扱いしたらぶん殴ってきたのに)
祥君はおどけたような口ぶりで言ってきた。
(確かにシステムのバクだったらシステムエンジニアでもないオレ達が声をかけても意味はない。けど、ここはセカンドワールドオンラインの中なんだよ。この世界ではシステムが認証すればあらゆる不可能が可能となる。そして、システムに認証をなさせるのはどこまでいっても人の意思力だよ。このゲームにはコントローラーが無い。インフィニットステーションを装着し脳波で情報体を操作している。脳波とはなにか? 神経パルスか? 微弱な電気信号か? 突き詰めて考えれば物質に刻まれた情報だ。心から出力された情報をインフィニットステーションは正確に拾い上げそれを忠実にセカンドワールドオンラインの世界の中で反映させている。だったら強く願って声をかければシステムが答えてくれる可能性はゼロじゃない。例えば急に【祈祷師】なんてジョブを与えられてエミリーを元に戻すスキルをもらえるかもだろ)
まったく、私が戦闘に参加させないための理由作りなのか、それとも本当にそんな可能性を信じているのか。
私の彼はロマンチストな奴だ。だったら、彼の期待に答えてやるのが女の努めというものだろう。
私はエミリーの元へまっすぐ走った。RDHが妨害してくるかと思ったが不思議と一切手出しをしてこなかった。というよりも、あいつ自身、本当はクエストの初期化以外でエミリーを元に戻す方法を探している節があった。今回も祥君との戦闘が終わるまでは目こぼししてくれるようだ。
ということは私は彼氏と神様の2人の期待を背負っているのか。だったらなんとしてでも成功させなければ。
読んで頂きありがとうございました。明日は休日なので投稿時間未定です。しかし、今度こそ早めの投稿に挑みたいと思っています。ブックマーク、感想、評価、メッセージなんでもお待ちしております。何卒お願いします。




