第950話 コンビニに行くより簡単なレベルアップの方法は? ㊲
「幸い、吾輩の国は粒がそろっておる。皆、学識高く、志も高い。 お主はただ、君臨すればいい。一国の長ともなれば、莫大な金が自動で集まる。情報の質も桁違いだ。どうだ? 悪い話ではなかろう?」
黒嵯峨の説得はさらに熱を帯びてくる。
完璧に玉座を降りる気だ。
だが、青春の全てを使うことで為した建国だ。
なぜ、こうも王位継承を急ぐ?
その疑問に辿り着いた時、ようやく答えが見えた。
「あんた、このゲームから降りるつもりなの?」
冷ややかな私の言葉が黒嵯峨を刺す。
相手を詰問する場合、長い言葉は要らない。
短い言葉で頭から叩き割り、機先を制す。
手応えがあった。
熱に浮かされたように話を続けていた黒嵯峨が急に黙り込む。
成功だ。
だが、私の心は怒りで満たされている。
「そうやって、私に全部、丸投げして、自分はとっとと降りるつもりなんだ。あんたの国の国民、あんたを慕う家臣、あんたの帰りを待ってる直弟子はどうなるのよ!」
『諦めきれない燻りが己の魂を焼く』黒嵯峨は先程、確かにそう言った。
なんてことはない。分かってしまえば、簡単だ。
その燻りが今も黒嵯峨を焼いているのだ。
黒嵯峨はその苦しみに耐えられなくなっただけなのだ。
リハビリ!? 時間が解決する!?
そんなものは逃げだ。
諦めた人間のすることだ。
読んで頂きありがとうございました。次回の投稿もなんとか頑張ります。
ブックマーク、感想、評価、メッセージなどありましたら何でもお待ちしております。
皆様のポチっとが私の創作の『最近、カイロを足に貼ることを覚えた。一回貼ったら、やめられない』(意味不明)ですので何卒よろしくお願いします。




