第95話 私を助けてくれる人の前に現れたメイド剣士を説教した
ウェストファリアに案内されたのはエミリーの部屋でもなく、王の間でもなく、礼拝堂だった。ウェストファリアは私達を罠に嵌めるでもなくきちんとRDH(ランダムデスハッピーの元へつれてきてくれた。その証拠に扉一枚隔てた向こうから凄まじい存在感を感じる。間違いなく奴はここにいる。
私達が覚悟を決めて入ろうとするとウェストファリアが声をかけてきた。よく彼女の様子を見ると足がプルプルと震えている。
「いや、すんません。真澄様。自分も真澄様達が正しいと思ってここまで案内して一緒に戦おうとしたんですが、どういうわけか足が動きません。スキルかなにかを使っているのかも知れません。」
これまでの人を喰ったような様子は鳴りを潜め、ひどく苦痛な表情で訴えてきた。仕方がない、相手は神なのだから…
「本当に情けないことですが足が動きません。このまま参戦しても囮にすらなれません。本当に本当に姫様のために戦いたいんです。エウクレイデスの誇りにかけて敵が強大だから引くなどという選択肢はないんです。けど、本当に足が動かないんです。なんなんだ、これ」
ウェストファリアが自分の太ももを叩きながら必死の形相で前に進もうとしているが上位固体の神相手には意思の力だけでは不可能なのだろう。
「なら、ここまででいいわ。ありがとう。ウェストファリア。無理をさせてごめんね」
私は彼女の頭にポンと手を置き謝った。
「けど、あなたが本当にエウクレイデスのメイドを目指すならここで呪い士の覇気にのまれちゃだめよ。他を顧みず自分だけの判断でものごとを決め、それを他者に強制する。そのカリスマを否定する気はないけど、あなたの高いメイド教育はたぶん、そういうものにレジストして理非善悪を議論し、主と共に正しい道を探すためにあるものよ。主の選択だって毎日毎回いつだって完璧に正しいとは限らないわ。馬鹿な主の指示をそのまま聞いてはエウクレイデスのメイド教育が泣くわよ」
私がそう告げるとウェストファリアは泣きながらその場を去った。彼女のように幼いメイドにこんな話をするのは酷だっただろうか。ウェストファリアがあまりに生意気可愛いいので最後につい余計なことを言ってしまった。これが私の遺言にならなければいいが…
「さて、祥君行こうか! 神殺しに!」
私は気持ちを入れ替えるためにも意気揚々と叫んだ。
「ああっ、久しぶりの対神戦闘だ。腕がなるよ」
祥君も私に合わせて叫んでくれた。
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