第943話 コンビニに行くより簡単なレベルアップの方法は? ㉚
「なるほど、よく分かった。つまり、吾輩は春日井殿に返しきれないだけの恩があるということじゃな。吾輩でよければ、知っておる限りの黄金気の運用法を伝授しようではないか」
黒嵯峨は立ち上がり、力強く私の拳を握ってくる。
ひとまずは目的達成か。
そうして、私は黒嵯峨に自分のスキル構成について説明していく。
「さて、何から教えたものか…気使いとは身体能力のパラメーターを極限まで上げ、絶対的な攻撃力と防御力で敵を正面から制圧する職業じゃ。まして、吾輩らの使っておる気は黄金気。最強の気じゃ。機能として、カラーオーラの全性質を兼ね備えておる。本来であれば、春日井殿のように白気と黄金気を併用する意味などないはずじゃ」
一通り、自身のスキル構成について語り尽くした後、黒嵯峨はそんな分析をしてきた。
私の返事も待たず、黒嵯峨は顎に手を当て、持論を展開していく。
「しかし、実際は白気の運用なくしてはここまで来れなかった。要するに黄金気は出力が高すぎて扱い辛いんじゃろ」
そうして、いきなり核心を突いてくる。
私の悩みにズバリ直撃している。
「大出力のエネルギー炉を如何に細やかに運用するか? これは上級プレイヤーが持つ普遍的な悩みとも言える。そこに正解はなく、各プレイヤーがそれぞれに創意工夫をして対策実践しておるのが現状じゃ…吾輩の方法が春日井殿にそっくりそのまま、使えるかどうかは正直分からんの…」
帰ってきた答えは酷く意外なものだった。
「そう、がっくりした顔をするな。吾輩はそもそも、格上相手の戦闘をそれほどこなしておらん。上位には入るがトップにはなれん。旬を過ぎたプレイヤーじゃ。それでも、深部まで潜り、ログイン時間はそれなりのもんじゃ。ヒントぐらいは出せるわい」
読んで頂きありがとうございました。次回の投稿もなんとか頑張ります。
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