第94話 私を助けてくれる人の前に現れたメイド剣士を論破した
「ずるいくらいでないとこの世の中で個性を発揮するのは難しいのです」
「というより、君は戦闘系だから戦闘で負けてもメイドの矜持を傷つけたことにはならないんじゃない?」
「さすがは真澄様。うまいことを言いますね」
「しかし、私は三級メイド剣士なのです。正直、戦闘力で救国の英雄なんかに勝てるわけがありません。可愛い女の子なんですよ」
「都合のいいときだけ、可愛い女の子を言い訳に使うのはエウクレイデスの矜持に反しないの?」
「ぐぐぐっ、痛いところをつきますね。というか今メイドとして矜持を傷つけられたような」
「聞いているとエウクレイデスの矜持っていうのはメイドとしての理不尽に対抗するものでしょう。今のはあなた個人に対する駄目出しなんだけど」
「ぬぬぬっ、しかし、そうでもしなければ王命を守ることが…」
「王命っていうけど、中身はちゃんと精査したの?あの呪い士の言うことが本当に正しいの? 真のメイドなら主の誤った命令に対しては命をかけて抵抗するもんじゃないの」
「むむむっ、負けました。私の負けです、真澄様。ここは素直に道をお譲りしましよう。私のような超強敵相手にノーダメージでこの廊下を通れるとは運がいいですね。これも私がエウクレイデスの高き志を持っていたからこそです。感謝なさい」
「いや、あんた、戦っても勝てないとか言ってたじゃん」
「それはショウ様が側にいたからこそです。レベルが4しかない真澄様相手なら余裕で勝てました」
「私、白気を覚えてるから剣王のグロスさんやソードパープルヒュドラを相手にしても勝ってるんだけど…」
「というのもメイドジョークです。もちろん、真澄様相手でも敗北していました。今のは真澄様の忍耐力を測るためのテストです。いや~お強いな~二人とも」
「で、アンタ、私達に道を譲るということは呪い士の方が間違えていると考えてるのよね」
「もちろんです。エミリー姫には同情しますがあいつの存在は胡散臭いです。なぜ、皆、あんなに簡単に呪い士の言葉を信じたのやら。あいつがエミリー姫を壊し、この国を乗っ取ろうと考えるほうがしっくりきます」
「なら、あなたには真のメイドとして私達に協力して奴を討つ義務が生じるはずよね」
「いや、それはその~あの呪い士ともレベルが違いすぎるというか…戦っても瞬殺されるというか・・・」
「あら、エウクレイデスのメイドは主の危機に対して命を惜しむの?」
「いえ、そのようなことは!」
「エウクレイデスのメイドが勝てない戦いだからって勝負を挑まないなんてことないわよね?」
「いえ、それは解釈しだいで…完全な負けが想定されているなら主のために搦め手を取るのは有りとされておりまして…」
「じゃあ、まず、エミリーがどこにいるのか教えてもらおうかしら。これ以上、エクシード十剣と争うのは時間の無駄だから彼らと遭遇しない最短ルートで案内してもらおうかしら」
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