第939話 コンビニに行くより簡単なレベルアップの方法は? ㉕
「亡龍亡我の業をやっておるのかと思って、見ておったが、どうもそうではないようじゃ。積もる話もある。すまんが、割り込ませもらうぞ」
一方的にそう宣言すると、黒嵯峨は私の盾になる位置に陣取る。
「まずは回復せんと話もできんな。【癒気掌・極】」
黒嵯峨に小突かれるとHPが一気に正常値までも戻る。驚くべきことに【気】の量まで回復していた。
「さっきも言ったが、お主の戦い方はなってらんの〜絶体絶命。多対一こそ、吾輩達、【気使い】が最も輝くとき。まして、溢れる【黄金気】で他を蹂躙するのが【黄金気使い】の醍醐味。吾輩が見本を見せてやる。そこで、見ておれ」
そう言うと黒嵯峨はリテイナー・ヌルッス・タイガーの群れに突っ込んでいく。
その光景はまさに圧巻の一言だった。
黒嵯峨には細かな技、駆け引き、迷いが一切なかった。
ただ突撃し、攻撃を喰らい、反撃する。
全てが力任せなのだ。
その圧倒的なゴリ押しを成立させているのが【黄金気】だ。
溢れんばかりの【黄金気】を展開させ、敵を一撃死させる攻撃を放ち、どんな攻撃を受けても平然としていた。
【黄金気】の量、いや質が違うのか!?
もはや、私が使う【黄金気】とは同じであっても全く別種の能力だった。
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