第938話 コンビニに行くより簡単なレベルアップの方法は? ㉔
だが、終わりの瞬間は不意にやってきた。
いつものように紙一重の回避を成功させ、攻撃。
普通ならバランスを崩し、いくばくかのインターバルを稼げるところだが、その個体にはバランス崩しが成功しなかった。
敵もまた学んだか、その個体が通常の敵より頑強であったのか、いずれにしても敵を全て同一個体だと評価した私のミスだ。
手痛いカウンターをもらい、決定的に失速する。
足を止めたのは数秒のはずだったが、敵もさるもの。
その数秒を使って、十重二重の包囲網を完成させていた。
もはや血路を開くことも叶わない。
ここまでか…
せめて、何体かは道連れにして、逝ってやる。
やけパッチな、最後の覚悟を決めた、まさに、その瞬間だった。
「いかんな〜真澄殿、死地に望んで死ぬ覚悟をするようでは王者とは言えぬ。それでは王者の【気】である【黄金気】を会得することはできぬな」
声が聞こえた。
同時に強烈なエネルギーの奔流が包囲網に走った。
エネルギーの奔流は分化し、幾つもの光となってリテイナー・ヌルッス・タイガーに襲いかかる。
敵はその光を浴びると次々と倒れていった。
死んだわけではない。
意識を失っただけだ。
この優しくも力強いエネルギー体には覚えがあった。
これは【黄金気】だ。
この【気】を使えるのは世界にたった2人しかいない。
私より強く。私より多彩で、私より優しい。
そんな【気】が使える能力者は1人しかいない。
クロサガ王国国王にして、私の師匠、黒嵯峨篤がそこに立っていた。
読んで頂きありがとうございました。次回の投稿も何とか頑張ります。
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