第927話 コンビニに行くより簡単なレベルアップの方法は? ⑬
「【白気散弾】」
私の拳から三発の気弾が発射される。
点ではなく、面を意識した攻撃。
【気】の扱いがかなり上達したおかげで速度もかなり上がってきている。
当てることを重視して開発した遠距離攻撃だ。
だが、ロード・ニル・タイガーは地に手と足をつけたまま、難無く躱す。
最小動作による紙一重を意識した回避。
まるで【気弾】が透過していったかのように見えた。
達人者級がよく使う高位の回避だ。
回避後に隙を作らない、回避の理想形の一つ。
モンスターが使ったのは初めて見たが…
生半可な飛び道具では牽制にもならないということか。
やはり、こちらから接近戦を挑むしかないのか…
とはいえ、相手は苦手な高速機動型だ。
肉薄しても捉えられるかどうか…
(やる前から、ビビってんじゃねえぞ〜主様よ〜ビビリは負け犬のすることだ。勝てねえ、できねえとはなっから諦めてる人間は一生勝てねえ。勝つための算段をするんじゃなくて、負けた時の言い訳をよりにもよって始める前からやってちゃあ、前途は暗いぜ)
脳内に突然、羅喜の声が響く。
どうやら、戦の臭いに引かれて勝手に降りてきたらしい。
全く困った【修羅王】様だ。
「あら、だったら新技の一つや二つ、考えてきてくれたのかしら?」
(阿呆か!? 俺様が考えたことをあんたが全部できるんなら、やりようもあるだろうが…こんな戦場で、あれだけの敵を相手に新技開発なんかできるか!! 全く毎度毎度、楽しい敵とばっかやりやがって羨ましい… なあ、そろそろ【憑依】を使う気はねえか? それなら、【スキル】の一つや二つと言わず…)
「それは却下ね。いつも通り、ナビだけをお願いするわ」
(だろうな…あんたは絶対そう言うと思ったぜ。けど、だったら、締めてかかろうぜ。ありゃ、野生の中でもピカイチの存在だ。弱気はダメだが、強気も危ない。【憑依】した俺様が戦っても百戦百勝とはいかない相手だ)
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