第913話 コンビニに行くためのパーティーメンバーは? ㉑
私はというと瞠目していた。
ネブラスカと協力して、領地経営に臨む方法は本当になかったのか?
今からでも、彼のためにできることはないのか?
彼の行為が私心なき選択であるのに対して、私の選択は欲にまみれすぎているのではないか?
ならば、領主として私の取るべき行為とは今からでも、彼を追いかけ、戻ってきてくれと拝み倒すことではないのか?
何より、本当にネブラスカ以上の領地経営ができるのだろうか?
その恐怖が実体を持って私を苦しめる。
だが、今、弱音を、本音を吐くことだけは、絶対にできない。
それは我が領地のために、身を引いてくれた彼を真に侮辱することになる。
「カートライト、領主として命じるわ。あなたを領主代行に任命する。速やかに領主館を掌握し、私のための官僚団を作りなさい。できあがった官僚団はガリポリ領だけでなく、今後、私が得ることになるあらゆる領地に派遣される。ガリポリ領はその中核となる。維持発展はもちろんのこと、全ての領地経営の見本となるような完璧な管理体制を構築しなさい!」
「はっ、我が身命を賭して!!」
そう返事をするとカートライトは足早に駆けていく。
「ふむ、そろそろ、頃合いか。さしものカートライトも今の命令を完遂するのには時がかかるだろう。なるほど、カートライトの器を最大限使わなければならない、最上の下命だ。しかも、このような見世物を見せられた後だ。いやでも、奮起するというもの。全く見事な、遊泳術だ、春日井。確かにこんな興業を見せられれば、帝国の宝物庫で、その才能を腐らせるより、お前に渡した方がよっぽど、有意義かもしれんな。いや愉快、愉快」
我孫子が何かに納得したかのように語りかけてくる。
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