第911話 コンビニに行くためのパーティーメンバーは? ⑲
「随分、唐突な物言いですね、春日井領主殿。一体どのような罪状で、私を罷免するのですか?」
今、自分の首を宣告されたのに、相も変わらずネブラスカは冷静だ。
むしろ、面白がってる節すらある。
ならば、答え合わせといこうか。
「罪状もなく、罷免するとはおかしな話だ。それでは法が成り立たない。法無き統治など成立するわけがない。人治の先にあるのは佞臣の跋扈だけだ。それは歴史が証明している」
私が黙っていると次々と口撃を浴びせてくる。
自分が気に入らなければ、領主であろうが王であろうが反論する。
ネブラスカは権威に従わない。
あくまでも理にのみ従属する。
ガリポリ領の利益という理だけが彼の行動原理なのだ。
「領主に対する不敬罪。領主権限の不正使用並びに、命令不服従と言いたいところだけど、罪状なんかないわ。あなたは不正もせず、完璧にガリポリ領を統治してきた」
私が反論するとネブラスカは自分の演説をピタリと止める。
お前の言など、いつでも覆せるという余裕とも取れる。
「残念ながら、あなたも知っての通り人事権は私が握っている。繰り返すがあなたに落ち度は何一つ無かった。私以上に完璧に統治していたかかもしれない。けれど、私が作り上げる統治にあなたの存在が邪魔なのよ。だから罷免する。それだけのことよ」
ネブラスカは瞳を閉じ沈黙し、私の言葉を咀嚼している。
私が示した選択肢の先を考えている。
決して自らの保身について考えていない。
「私がいなくなれば、ガリポリの統治は回らないでしょう。人は私の事をガリポリの生き字引と言うが、事実として私以上にガリポリの事情を知っているものはいない。そこはどうするおつもりですか?」
出てきた言葉はやはりガリポリ領のことだった。
ならば、長年の恩人に対して最大限の謝辞で返す。
「あなたが鍛えたガリポリの官僚を使うわ。あなたなら100点の統治をするかもしれない。私なら、ガリポリの官僚をどれだけ上手く使っても75点がせいぜいかもしれない。けれど、この先10年で必ず150にもそれ以上にもしてみせる」
読んで頂きありがとうございました。次回の投稿も何とか頑張ります。
ブックマーク、感想、評価、メッセージなどありましたら何でもお待ちしております。
皆様のポチっとが私の創作の『ゴールデンウィークが終わってしまった。何かやりたいと思いつつ、終わったら何もできてなかった。せめて、あの本だけでも買っておけばよかったか』(意味不明)ですので何卒よろしくお願いします。




