第908話 コンビニに行くためのパーティーメンバーは? ⑯
「然るに、今のお前はどうだ。ふらふらと所在なさげに指示を出しおって! あれではどんな優秀な臣下でも疑問を持つ。疑問を持った臣下は自分で考えることをせず、お前の顔色だけを窺い行動する。当然の帰結だ。基準となる標もなく、お前の気分次第で政策が右にも左にもフラフラと動く。そんな中で、まともに仕事を積み上げるものがどれだけいる」
まるで自分自身に言い聞かせるように我孫子は告げる。
「臣下の努力を蔑ろにし、佞臣を生む原因を作っているのはお前の日々の行動そのものだ。夢忘れず、練磨しろ」
筋が通り過ぎてて、言い返せない。
確かにヨウメイのさっきの提案は私の顔色を窺ってのものだった。
私の中で方針が固めきれていなかったのが原因だ。
「まあ、最初から全てができる人間なんていないっすよ~偉そうに言ってますけど、我孫子っちも最初は酷かったんすよ~先帝の死とともに何の引継ぎも無しに帝権を渡されたもんだから、戦争以外は何にもできなくて~文官を軽視の政策を取ったら反乱起こされて、あっぷあっぷしてましたからね~それが今や押しも押されぬ賢帝扱い。人間なんて、環境でいくらでも変わるもんすよ~」
私が落ちこんでいるとメッテルニヒが慰めとも言えるようなフォローを入れてくれる。
意外だ。我孫子の場合、始めから何でもできたような印象があるのに。
「メッテルニヒ、余計なことは言うな。お前の言は正しいが、全てが正しいわけでもない。我は迷わなかった。正確に言えば、迷いを臣下に見せることだけはしなかった。そこは春日井との大きな違いだと指摘しておく」
「自分で迷ってたってことを白状してるようなもんじゃないっすか~我孫子っちの場合は我が強すぎるから、失敗するんすよ~色々、人に任せてみてから上手くいったしょう。春日井っちの方が相談しやすいって利点はあるんするよ。ヨウメイちゃんが顔色を読んだのも、春日井っちを慮ってっすよ。佞臣とか心配すんのは、まだまだ、先の話っすよ」
「だが、いつか起こる未来の話だ。そうなる可能性があるなら、今のうちから矯正したほうがいい」
「矯正して春日井っちの持ち味が薄れていくのが、まずいんすよ、この愚帝が。何でもかんでも、自分が正しいと思うんじゃねえっすよ。あんたのその性格のせいで、帝国が失ったものも多いんすよ」
「貴様こそ、いつまでも観察者を気取りおって。いい加減、国政に戻ってこい。我に諫言できるものがおらんから、我の性格は変わらんのだ。いつもいつも事が終わってから、助言してくるが、それでは遅いのだ。皇帝の側で、皇帝とは違う視線で物事を判断する人間が必要だと、あの時、口を酸っぱくして言ったではないか」
なにやら、私抜きでケンカが始まった。
私としては色々考えたいから、時間ができてちょうどいいが…
すぐ側で大声を出して罵り合うのはやめてほしい…
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