第904話 コンビニに行くためのパーティーメンバーは? ⑫
先程までとは打って変わってベーメンは私を褒めちぎる。
暴言とも取れる独特の表現なのは気になるが中身は私の陣営への転属を勧めるものだ。
本当にカートライトの将来を案じているのだろう。
結局、私とベーメンとの今し方の相対は全て、私の器を図るものだったのだろう。
部下のため、本気で他国の代表と相対する。おべんちゃらに逃げず、真に迫ることを良しとする帝国の人材の厚さ。
確かに見せてもらった。
カートライトに転属を勧めていることから、なんとか合格点を取れたのだろう。
そう思うとようやくほっとする。
むしろ、一周回って、この気難しい爺さんが、なんとも可愛く思えるから不思議だ。
カートライトとベーメンは未だ終わらない議論を続けている。
カートライトの方に終わらせる意思がないから、当然だ。
まだ、迷っているのだろう。
最後は自分の力で口説きにかかるか。
「雌伏の時代は終わったわ、カートライト。あなたには世界が変革する様を見せてあげる。世界がどう変わっていくのか。どう変えていくのか。その結果はあなたの知見によって大いに左右されるはず。夏炉冬扇の衣を捨て、その才能を私に見せなさい」
その一言を発すると周囲が静寂に包まれる。
ヨウメイは目を潤ませ、メッテルニヒはニヤニヤと笑っている。
「大した殺し文句だ。まるで契約を持ちかける悪い魔法使いのようではないか、なあ、春日井よ」
唯一、我孫子だけが特大の憎まれ口を叩いてきた。
「直属の上司にすら、未だこのように世話を焼かれる半人前ですが、粉骨砕身、全身全霊を持って、あなたにお仕えします。どうか、よろしくお願い致します、春日井殿」
こうして、ようやく、カートライトからの承諾の返事がもらえたのだった。
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