第900話 コンビニに行くためのパーティーメンバーは? ⑧
「ではカートライトの元に行くか、奴の現在の所属は帝国第二秘書室か。また、面妖な部署に…厄介払いをしたいのか栄転をさせたいのか判断に困る場所だな…」
我孫子の先導によって帝城をまたも移動する。
移動中、我孫子から帝国の職制についてレクチャーを受ける。
帝国第二秘書室とは文字通り、皇帝の仕事の補助。
要するに何でも屋だ。
それも重要な職務は第一秘書室が受け持ち、第二秘書はそれ以外の全てを受け持つという二軍扱い。
それでも皇帝と直接、面通しができるというのはやはり魅力らしく、第二秘書室への転属を願い出る者は多いという。
職員の多くは下級官吏や新人上級官吏によって占められ、カートライトのような生え抜きが移動してくるのは極めて異例とのことだ。
「着いたぞ、ここが第二秘書室だ」
そう案内してくれた我孫子はなぜか頭からすっぽりフードをかぶっている。
明らかに【認識阻害】の効果がかかっている。
まさか、交渉を全て私にやらせるつもりか?
いや、まあ、借り受ける立場なのだから当然ではあるが…
意を決してドアを叩く。
雑然とした部屋だ。それが第一印象だった。
執務を行う部屋ということもあり、特殊な装飾など一切なく、ただ机と椅子が並んでいるだけだった。
但し、どの机にも書類が所狭しと並んでいた。
日中だというのに部屋の中にはほとんど人がいない。
最奥に、鋭い目つきをした男性がひとり、書類に目を通しながら、こちらに会釈してきた。
「なるほど、陛下による謁見が突如、中止になったとは聞いていたがお前の仕業だったのか、春日井真澄」
明らかに不機嫌な声で声をかけてくる。
男は私のことを知っていた。
よく見れば、カートライトをスカウトした際、猛烈な抗議をしてきたあの文官だ。
名をベーメンいうらしい。メッテルニヒが気を利かして横から教えてくれる。
「それで、何の用だ、春日井真澄? お前が謁見をぶち壊しにしてくれたおかげで秘書室は大混乱だ。日陰者の第二秘書室まで駆り出しての総動員だ。どう落とし前をつける気だ」
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