第90話 私を助けてくれる人の賭け
手数の多さで攻めるという私の戦術は功を奏したがそれでも剣王の進撃は止まらない。どれほどボロボロになろうと構わず突き進んでくる。この執念が剣王たる所以か。
このままでは勝てない。手持ちの最強の技で勝負を賭けるしかない。多重属性付与のロンバルディア流剣王技の奥義。
問題は私は二重付与しか成功していないという点と単純な一閃でしか撃てないという点か。よって混ぜるなら破壊力重視の【劫火】と速度重視の【翠嵐】か。あの剣王相手に近接戦闘を行い、なおかつ、複合を維持しながら有効打を入れる。考えただけで頭がクラクラするような問題だ。
しかし、やるしかない。
私は再度、グロスの元へ駆けた。
「三段斬り改」
グロスの低い声と共に三方から斬撃による同時攻撃が放たれる。
私が【神速三段】を使って迎撃できるのを知っていながら技後硬直を狙いあえてこの技を選んだのだろう。彼もまた、私の連続攻撃によって疲弊していたのだ。攻撃が単調になっている。しかし、この選択は私にとってまさに好機。
私はあえてなんの防御もせず【三段斬り改】をその身に受ける。回避もせず、まともに受けたのでHPが凄まじい勢いで減る。しかし、所詮この身は情報体。我々はどんな攻撃を受けたところでなんの痛みも感じないのだ。従って痛みによる行動不能という状態は存在せず、致死性の攻撃を受けても死にさえしなければ、すぐに次の行動に移れるのだ。
グロスが【三段斬り改】の技後硬直に入る。いくら技後硬直が短い技とはいえ、この数秒は命取りだ。
「翠嵐劫火炎熱斬」
二重付与の副産物で普段まとう炎の倍以上の荒れ狂う炎をわが身にまとい、嵐と炎をまとった剣による大火力の一閃。それを全身全霊を込めてグロスに叩き込んだ。
もちろんそんな出鱈目な一撃に耐え切れるわけがなく、グロスは倒れた。
勝った。攻撃力だけでいえば私が今までで放った一撃の中でナンバーワンかもしれない。複雑な制御だったがなんとか成功した。
終わったという安心感から思わず、その場で方膝をついてしまった。
グロスによってまともに受けた【三段斬り改】のダメージと自分で撃った翠嵐劫火炎熱斬の被ダメージの影響でHPが一気にレッドゾーンにまで落ちた。残りのHPも50を切っている。本当に辛勝だった。
ここまで消耗してショウ達の下へ行けるのかという疑問だ閃いたが愚問だな。消耗したのは精神だけだ。ならば全ては心次第。こんなところで挫けていては真澄に笑われる。まずはHPの回復だとアイテムを使おうと思った瞬間、信じられないものを見た。
私の直撃を受けたグロスが立ち上がり、私に向かって剣を振り下ろそうとしているのだ。馬鹿な、あの一撃で絶命しなかったというのか!?
早く回復を!? いや、間に合わない回避だ。
「秋霜烈風撃」
剣王の大上段から放たれる一撃を私は避けることすらできず、私はあえなく絶命した…
読んで頂きありがとうございました。今日は納得のいくものが書けてよかったです。分量的にはイマイチですが。明日は休みなので投稿時間が未定です。前回の徹があるのでガンバって明日中に書きたいです。ブックマーク、感想、評価、メッセージなんでもお待ちしております。たった一個のブックマークで救われるほど嬉しいので何卒お願いします。




