第897話 コンビニに行くためのパーティーメンバーは? ⑤
そう、私達が転移してきた場所は帝城謁見室。通称、玉座の間というやつだ。
ヨウメイは完全にフリーズし、口をパクパクさせている。
それを見てメッテルニヒはケラケラと笑っている。
どうやら彼女の趣向に完全にハマってしまったようだ。
転移先を皇帝の喉元に置くとは設置したやつがアホなのか、彼女のような者に権限付与した者が馬鹿なのか。
まあ、おそらく後者だろうが。
そう思ったのは私だけではない。
先程から、凄い剣幕でメッテルニヒを見ている者がいる。
片手に書類を持ち我孫子の側に立っていることから、おそらく我孫子の秘書か何かなのだろう。
武官並の殺気を放てることから、只者でないことが一目で分かる。
次の謁見のためのブリーフィングでもしていたのかもしれない。
「コルベール、客人が来たのだ。以降の謁見は全てキャンセル。残った業務も後日に回しておけ」
我孫子がコルベールに指示を出す。
「陛下。緊急事でもないのに、そのように予定を変更されては困ります」
コルベールと呼ばれた男は【皇帝】の突然の方針転換にも動じない。
感情を表に出さず、淡々と主の思いつきを諌める。
「皆、今日のこの謁見のために何日も時間をかけて準備をしてきたのです。何日も前から帝都に滞在し、謁見の日を心待ちにしていたのです。中にはこの日のためだけに、遠方から徒歩で来た者もいます。彼らの気持ちを蔑ろにすることは帝国の威光に傷を付けることになりかねません」
然しもの我孫子もこのような丁寧な返しをされてはいつもの傲岸不遜を発揮できない。
やむなく、ロジックに拠った穏やか返答となる。
「別に会わぬとは言っておらん。今日の謁見を終了すると言っただけだ。それとも何だ、その方は我の客をこのまま放置する気か?」
「同盟者・春日井殿との即時の会見が帝国の国益に叶うなら、行かれるべきでしょう。ですが、ただの思いつきであるならば、日を改め、所定の手順を踏むべきでしょう。皇帝といえど、今は執務中。緊急度、重要度を加味した優先順位というものを示してもらわねば、臣下に示しがつきません」
成り行きでココまで来ただけなのに、どんどんハードルが上がっている気がするのだが気のせいだろうか。
読んで頂きありがとうございました。次回の投稿もなんとか頑張ります。
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